第三話 怪人と炎その四
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「じゃあ色々と知恵を貸してくれよ」
「知恵をだね」
「あたし頭が悪いからさ」
笑ってこう言った薊だった。
「先輩頭いいっていうしさ」
「別にそんなつもりはないよ」
「いやいや、学校の成績だけじゃなくてさ」
実は学校の成績で頭の善し悪しは決まらない、テレビで碌でもないことを言っている学者達を見ればわかることである。
「話してることを聞いてもな」
「そうよね、先輩はね」
裕香も薊の言葉に頷いて応える。
「頭のいい方よね」
「あたしよりずっとな」
「私よりも」
「けれど闘えないよな」
「うん、僕は体育は苦手だよ」
智和は薊の今の問い、運動については微笑んでこう答えた。
「そちらはね」
「背は高いけれどな」
もっと言えば体格もいい、太ってもいなければ痩せてもいない。若しかして筋肉質ではないかと思える位だ。
「そうなんだな」
「うん、ずっと机に座ってきたからね」
子供の頃からだ、そうだったからだというのだ。
「そうしたことはね」
「格闘技とか武道も経験ないよな」
「ないよ」
一言での返答だった。
「実際にね」
「だよな、それじゃあな」
「僕は参謀だね」
「兼リーダー、いや司令官かね」
薊は明るく笑ってこうも言った。
「そうなるかね」
「どうして僕が司令官かな」
「いや、あたし達の中で一番年長だからさ」
歳の関係でだというのだ。
「先輩だからな」
「そうよね、それに何かとまとめてくれるみたいだし」
裕香はここでも言った。
「確か先輩中学生の頃は」
「八条学園の中等部でだね」
「はい、生徒会長をされてましたよね」
「そのことを知ってるんだ」
「先輩は学園の有名人の一人ですから」
だからだ、裕香も知っているというのだ。
「聞いています」
「僕は有名人なんだね」
「かるた部の商業科の一年のおかんとお姉と」
この二人もだ、学園の有名人だというのだ。
「あと女子軽音楽部の部長とか」
「あの小柄で賑やかな娘だね」
「はい、その他にも色々有名人のいる学園ですけれど」
「僕も有名人だったんだ」
「その中でも相当ですよ」
智和は学園の有名人の中でもとりわけだ、その名を知られている人間だというのだ。
「成績優秀、家はお金持ちでしかも容姿端麗な紳士で」
「それは買い被りだよ」
「それでもそういう評判ですよ」
笑顔で謙遜する智和に話す。
「先輩は」
「とにかく有名なんだね」
「はい、そうです」
裕香はまた答えた。
「先輩は」
「それで僕が生徒会長だったから」
「はい、リーダーシップにも評判がありますから」
だからだというのだ、裕香も。
「私達が怪人と闘って相手がどんな連中が調べていく為には」
「先輩がリーダーをしてくれてな」
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