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ウォーロック・ブレイド
第一部:蒼の鬼神
悪魔と契約した少年
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 ロードの周囲を、青白い電光が撫でていく。黒い外套の巨漢はその雷光に気圧されたかのように、一歩、二歩、と後ずさっていく。

「何だ……何だてめぇ……そいつは何だ!」
「……」

 ロードは閉じていた両目を開く。その瞳の色は本来の黒色ではなく、雷光と同じ青白い色に輝いていた。青い瞳で、静かに巨漢を見つめる。すると、なんとなくだが相手の行動が読める気がした。同時に、自分がどうやって戦えばいいかも。相手は恐らく格闘戦を主体とする訓練を積み、先述を組み立てているだろう。対するこちらは、魔方陣から引き出した大剣。ロードと同じように、青白い燐光を纏っている。磨き上げられた刀身は、雪のように白い。

 《蒼燐光の鬼神(ルシフェラーゼ・ジ・アトニア)》がロードに授けた能力の一つ、《神宝の具現化》だ。”守護悪魔”の持つ、『自身の能力の一端を貸し与える』効果の一種で、《蒼燐光の鬼神(ルシフェラーゼ・ジ・アトニア)》がロードに貸し与えた『能力』が、この大剣だったという事だ。研ぎ澄まされた白い大剣が、雷光に充てられてきらりと輝く。

 突然のロードの変化に戸惑ったのか、男はいまだ混乱したような表情をとっている。対して、聖職者の方の驚愕ぶりは度を越していた。

「な……ば、馬鹿な……《ウォーロック》だと……!?」
「なんだそりゃぁ」

 聖職者に、巨漢が問いかける。聖職者は青ざめた表情でその問いに答えた。

「悪魔と契約して能力を借り受けた存在です。《魔女》と対になる存在だとか……で、伝承では、《全知の書記》の時代に、彼の者と共に戦ったという……」

 《全知の書記》。それは、この世界で最も広く語られた存在の一人だ。《絶対強者》と《勝利の女神》の娘にあたる、《絶勝の女神》と共に世界を渡り、現在の王国の基礎を作ったと言われる立役者だ。王国の初代国王は彼と共に冒険した仲間の一人だという噂まである。

 建国神話にまで語られる存在――――それはつまり、彼が英雄か神の領域にある存在だという事だ。

 そんな彼と共に有った仲間たちの中に、《世界の闇》と契約した者がいたという。彼が扱ったのは悪魔。英雄譚(サーガ)などでは邪悪な存在として扱われる悪魔だが、彼の者の操った悪魔だけは《聖なるもの》として扱われている。

 彼のことを、サーガでは《ウォーロック》という呼称で呼んでいた。つまり今のロードは、伝説の英雄と同じ呼称をされる存在となっているわけだ。

「あ、あの様子では、覚醒したばかりの様子です……今ならばまだ殺せる!!は、はやく、早く殺しなさい!!」
「わぁってるよ……少し黙ってろ」

 巨漢が黒いローブを脱ぎ捨てる。あらわになった筋肉に覆われた肉体には、大きな傷跡がいくつか、そして、左半身を覆う巨大な刺青が付いていた。

 
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