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ぶつかった相手は
第六章

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「いいでしょ」
「ああ、じゃあ今度ここで中華を食べる時も」
「ここにするのね」
「そうするな。あとな」
「あとって?」
「こうして御前と食うのってな」
 向かい合って一緒に食べるのはというのだ。
「はじめてか」
「そういえばそうね」
 麻美も祥太郎のその言葉に気付いた顔で返した。
「私達結構話をしてたけれど」
「そうだよな。あと俺もな」
「あんたもって?」
「大阪で結構遊んでるからな」
 だからだというのだ。
「大阪の美味い店結構知ってるんだよ」
「あんた食べ歩きも好きだしね」
「安い店ばかりだけれどな」
 このことは学生だからだ、学生の身分ではアルバイトをしていても経済的にはたかが知れているのが普通だ。
 それでだ、祥太郎が行く店もだというのだ。
「ラーメン以外にはお好み焼きとかうどんとかたこ焼きとかな」
「そういうのね」
「ああ、安いのだけだよ」
 食べるのはというのだ。
「そういう店ばかりだけれどな」
「いいじゃない、安くて美味しいのが大阪だし」
 麻美もそれを当然として返す、ラーメンを美味しく食べながら。
「それでね」
「そうか、それじゃあな」
「それじゃあって?」
「一緒に行くか?そっちが休みの時にな」
「食べ歩きになの」
「難波とか住吉とか西成でな」
 そうした場所でだというのだ。
「梅田とか都島、京橋とかな」
「色々行ってるのね」
「そういうところに行かないか?」
 こう誘うのだった、麻美を。
「一緒にな」
「デートのお誘いかしら」
 麻美は祥太郎の言葉に微笑んで応えた。
「それって」
「そう思うならいいけれどな」
 祥太郎も笑顔で返す、返しつつ箸で餃子を取ってそれで御飯を食べながらである。
「そっちがな」
「そうなのね。けれどね」
「美味い店には興味があるだろ」
「ない人もいないでしょ」
 麻美は微笑みのまま返した。
「それは」
「そうだよな、じゃあ今度からな」
「大阪の色々な場所を回って」
「食っていこうな」
 こうした話をしてだった、そのうえで。
 二人はこの時から一緒に食べる様になった、大阪のあちこちで。その祥太郎に仲間達は学園の中で尋ねた。
「最近俺達以外とも遊んでるよな」
「彼女でも出来たか?」
「しょっちゅう大阪に行ってるみたいだけれどな」
「誰となんだ?」
「ああ、ツレとな」
 祥太郎はその彼等に笑って返した。
「一緒に遊んでるんだよ」
「ツレって誰なんだよ」
「この大学の奴か?」
「そこは違うのかよ」
「ああ、違うよ」
 実際にそうだというのだ。
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