第二話 目覚める炎その十三
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「ゴキブリが出たりしてね」
「変な赤い虫だって出るんだよな」
「うち田舎だったから」
田舎ではだ、どうなるかというと。
「ダンゴムシが出たりしてね」
「鉢とか石の下にいるあの丸くなる虫だよな」
「そう、ああいうのがね」
「出たりするのかよ」
「それ出した子がいたのよ、男の子で」
裕香は嫌なものを思い出す顔で話す。
「ずっとお掃除しないでね」
「それはまた凄いな」
「だからね、お掃除はね」
「やっぱりしないとな」
「意外と女子寮もね」
何も知らないままで聞くと花の園だ、しかしそれは幻想世界での話でしかなくおぞましい現実はどうかというと。
「匂いもきついし」
「それでちょっと油断したらか」
「滅茶苦茶汚れるのよね」
「それが現実なんだな」
「そうよ、実際はね」
おぞましい現実である、現実は時として極めて残酷なものだ。
「そんなものよ」
「じゃあうちの女子寮もな」
「多分ね、うちの寮は毎日お掃除してるけれど」
そうしなければだ、どうなるかというと。
「ちょっとでも、夏休みとか皆帰省していなくなるけれど」
「休みの時かよ」
「凄いわよ」
裕香は真剣な顔で言う。
「あまりにも凄いからアルバイトの人来るから」
「お掃除にかよ」
「そう、大学の方で募集してね」
それでだ、寮の掃除をしてもらうというのだ。
「男の人は男子寮、それで女の人はね」
「女子寮かよ」
「バイト料は安いけれど御飯も出るから」
「人は来るんだな」
「とにかくそうしてね」
綺麗にしているというのだ。
「夏でも何とか綺麗にしてるのよ」
「凄い話だな、本当に」
「とにかく女の子でもね」
少しでも油断すればだというのだ。
「トイレとか洗面所とか風呂場とかか」
「あと食堂も」
そこもだというのだ。
「すぐに汚くなるから」
「女の子って皆綺麗好きとか思ってる男いるよな」
「それ架空世界の話だから」
完全にそうである、そう思っている男は女の子のことを何一つとしてわかっていない、そう断言出来るものである。
「実際はむしろね」
「男よりもか」
「汚いから」
「それが現実だよな」
「現実は残酷だからね」
裕香はこのことは遠い目をして語った。
「もうね、そんな夢はね」
「夢は夢だよな」
「覚えていていい夢、目指すべき夢はあるけれど」
「捨てていい夢もあるよな」
「この場合はそっちよ」
まさにだ、捨てていい夢だというのだ。
「女の子の匂いだって」
「凄いってか」
「女子更衣室とかね」
ここもまた花の園だ、女の子達が着替えをするまさに夢の場所であり覗くには最適の場所だがここもまた現実はというと。
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