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鬼灯の冷徹―地獄で内定いただきました。―
参_冷徹上司
六話
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 一方その頃、鬼灯は閻魔大王の仕事ぶりを監視していた。
案の定、彼の予想通り閻魔大王の仕事の進み具合は甘かった。
いや、鬼灯から見て甘かった。

「鬼灯君〜、ちょっと休憩させてよ」

「甘い!そんなことでは、部下にナメられますよ」

「ナメるも何も、一番の部下である君からのこの扱いなんだけどなあ」

鬼灯は巻物に筆を走らせる閻魔大王のそばで、金棒を持って立っていた。
その姿はさながら、鬼コーチである。

「そういえば君、あの新人の子は放っておいていいの?何か今、悲鳴みたいなのも聞こえたけど?」

「ああ、金魚草に水を与えるように命じましたが、こんな簡単な仕事で音を上げているようでは、地獄ではやっていけません」

「相変わらず厳しいなあ」

「それに若い女性というものは、何かとすぐに甲高い声を上げるでしょう。かわいいものを見てもキャー、ホラー映画を観てもキャー。要するにあまり意味はないのです。彼女もそんな感じなのでは」

「堅物のように見えて、意外と女子の性質をよく分析してるねえ、君」

遠くで確かに騒がしく感じたが、それももう落ち着いていた。
大方、金魚草たちが一斉に鳴き出したものだから驚いたのだろう。
鬼灯は自分の目を盗んで休んでいた閻魔大王の顔に、金棒をグリグリと押し付けた。

「サボらないでください、大王」




「ミヤコさん、上手いっすね!」

「そうやろ?絵、好きやねん。でも茄子のセンス、すごいなあ」

「俺ー?このアイアンアマテラスは気に入ってるけど、まだまだ何かこう、燃え上がる作品に辿り着かないんだよなあ」

ミヤコ、唐瓜、茄子の三人は元葛飾北斎の絵が描かれていた壁の前にいた。
茄子の描いた絵は、ミヤコにとって刺激になった。
色使いも構成も、目を見張るものがある。もっとも、彼がそんなことを考えて描いたとは思えなかったが。
それも才能である。

「唐瓜は下手くそー!」

「う、うるさいな、わかってるよ!」

そして、ずいぶんと仲良くなっていた。
三人で色の剥げ掛けた部分や消えてしまっているところを補正するのは楽しかった。
必死に就活用に、企業に提出するポートフォリオも作ったが、自分が本当に楽しく作れたかといえば少し違った。
どうすれば採用してもらえるかとか、少し奇をてらってみたりだとか、そんなことを考えてしまう。
そうか、こうやって自由に描きたいものを思い切り描けばいいのだ。
それで本当の自分というものが伝わることの方が、何より大切だ。

「ミヤコお姉さんさー、ここに来て初めて笑った顔したの見たよ、俺」

「えっ?」

「あー、俺もかも」

「えっ、笑ってなかったかな?」

言われてみれば、地獄で目が覚めてから戸惑って
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