第四話
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晴れた休日の昼、レイフォンとクラリーベルは野戦グラウンドへ向かっていた。小隊戦を見るためだ。
野戦グラウンドは武芸科の、特に小隊の武芸者が訓練する施設の一つだ。武芸者が十分に動けるだけの広さを兼ね備えた場所として用意され、普段は自動機械を用いた小隊員による連携訓練などが行われている。
その施設の外の入口近くに一人の少女がいた。栗色の髪を二つに括った一般教養科の制服を着ている。
少女はレイフォンたちに気づくと近寄ってくる。歩くたびに括られた髪がふわふわと動いた。
「レイフォンさんとクラリーベルさんですか?」
「君がアイシャが言ってた人? ミィフィさんだっけ」
「はい。ミィフィ・ロッテンです。呼び捨てでいいよ。同級生だし敬語とか無しでいきましょー」
笑顔が柔らかな少女だ。話して間もないのに活発な性格が伝わってくる。
「先に言っておくけど私から直接は無理だよ」
「どうしてまた」
「私も聞きかじっただけで良く知らないの。あと、ちょっと色々あって友達がそういうのに過敏でね。今も後の取材の為にって抜けてきてるんだ」
なのでオフレコでお願いね。そう頼まれる。
ミィフィはアイシャも含め三人で観戦に来ている。残り一人の子を黙ってしているような状態らしい。レイフォンは少し申し訳なくなる。
「関係者である先輩の方に連れて行くからそっちでお願い」
「ありがとう。初対面なのに変なこと頼んでごめんね」
「いえいえ。興味が無かったわけじゃないし、アイちゃんの頼みだから」
「アイちゃん?」
「仲間内での愛称。私はミィって呼ばれてるよ。こうしたのあったほうが呼びやすいし愛情あって親しみやすいじゃない。」
ミィフィについて入口をくぐる。観客席とは別の方へ進んでいく。
頼んだこととは賭けの事だ。前にアイシャから聞いた話を思い出し新聞部の人間として紹介して貰ったのがミィフィだ。アイシャ経由で話を聞いた結果この賭けは結構知られていてほぼ黙認されていて状況らしい。
「良かったら二人の呼び名も考えてあげよっか? ミィフィちゃんにかかればセンス抜群の名前が直ぐにでもあなたのものに」
「……僕は別にいいかな」
「はいはい、私は興味あります」
クラリーベルが楽しげに興味を示す。
「アイちゃんから聞いたよ。クララでしょ」
「変わり映えしませんね。他のないですか」
「んー。呼びやすいしそれがバッチシって感じ過ぎ何だよね。他ならクラりん、クーちゃんとか?」
適当な候補をミィフィが上げていく。レイフォンからしたら呼びやすいがどれもセンスがよく分からない。そういう名前が好きなのだろうか。
クラリーベルがレイフォンに尋ねる。
「そうですねぇ……レイフォンはどう思います」
「何、クラりん」
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