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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As 08 「届かぬ想い、折れる刃」
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 俺が居るのは、シグナム達と協力関係を結んだとある公園の街灯の下。周囲に人気は全くといっていいほどない。ふと空を見上げれば、太陽が完全に姿を消そうとしている。子供がひとりで出歩く時間ではなくなってきているため、シグナムが到着していないため人気がないことは好都合だ。

「……はやて」

 ここ数日、彼女の顔を見ていない。理由はもちろん、しばらく見舞いに来ないでほしいと言われたからだ。
 たった数日出会っていないだけなのにはやての顔を見たい、声が聞きたいと思ってしまう。彼女が恋しくて堪らない。こんな風に思ってしまうのは、俺にとって彼女の存在が大きいのもあるのだろうが、闇の書から彼女を救う術が見つかっていないのが最大の原因だろう。
 日を追うごとになくなっていくはやての時間。それに伴って膨れ上がっていく不安と焦り。きっとシグナム達も同じ感情を抱いているに違いない。

「だけど…………俺はシグナム達を止めないといけない」

 防衛プログラムが破損している限り、魔力を蒐集して行った先に幸せな未来はない。あるのは《破壊》だけだ。
 そんな未来をはやては望まないだろう。彼女は優しい子だ。他人の代わりに自分が傷ついてもいいと考えるほどに。たとえ自分の未来を知ったとしてもきっと……。

「……いや」

 もしかするとはやては、自分の死がすでに近いことを分かっているのかもしれない。
 そう考えれば、俺の元気な顔が見たいという理由で見舞いに来ないでほしいと言った理由にも納得できる。
 きっと……はやては俺がはやてのために何かしてることに気が付いてる。そして、それを自分が健康だったなら……、と責めているはずだ。
 見舞いに来るなと言ったのは、俺に他のことにも目を向けてほしいという気遣いもあるんだろう。だが俺の顔を見ていると辛いという理由もある気がする。本人の意思で動いていたとしても、他人が自分のために嫌な目にあったり、元気がなくなったりするのは嫌なものだ。
 俺とはやては、似ていないようで本質的な部分は似ていると思う。
 俺や彼女はひとりで居る時間が多かったこともあって、辛くても苦しくてもひとりで解決するしかなかった。他人との繋がりが切れることを恐れて、口に出すことができずに抱え込んでしまうこともある。
 ――それを自然に感じ取ったからこそ、俺ははやてには心を開くことができたんだろうな。
 はたから見た俺とはやては、誰も似ているとは思わないだろう。俺自身も客観的に見た場合、明るい彼女と似ているとは思わない。同じ傷を持っていなかったならば、出会ったとしても親しくなることはなかったかもしれない。

「すまない、待たせたな」
「いや……構わないよ」

 振り返ると白いコートを着たシグナムが視界に映る。シャマルの姿は見えないことから、は
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