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渦巻く滄海 紅き空 【上】
二十七 十日目
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たっていうんですか!?」
ナルトの答えに納得いかず、喉も裂けよとばかりに君麻呂は叫んだ。
ナルトの為に生き、ナルトの為に死ぬ。彼の剣であり、彼の盾であり、彼の力となる。
そうなるように生きてきた自分自身がナルトの足枷になっている事など考えたくもなかった。
「僕なんかのためにナルト様のお手を煩わせるなんて…ッ」
叫んだせいで息が切れる。またもやベッドに沈み込む君麻呂を、ナルトはちらりと見た。静寂の中、君麻呂の苦しげな呼吸音が大きく響く。
君麻呂の話を黙って聞いていたナルトが口を開いた。ぴしゃり、と言い放つ。

「……誰がお前のためだと言った?これは俺のためだ」
ギシリとベッドから立ち上がる。君麻呂は息を潜めて、ナルトの動向を窺っていた。ナルトは数歩歩いてぴたりと止まる。君麻呂に背中を向けたまま、彼は語り出した。
「いつか、俺のせいで死んでしまいそうな気がしたんだ」
「僕にとってはこの上ない幸せです」
間髪容れずに答えた君麻呂に、ナルトは人知れず眉根を寄せた。
「………それが、いやだったんだよ」


『死ね』と言われたら本気で実行する。ナルトの為ならば命を投げ出す。
そんな危うげで儚い印象を見せる君麻呂に、ナルトはずっと懸念を抱いていた。
自分は拾ってもらったのだと感謝の念をずっと持ち続ける君麻呂。そしてナルトをいつまでも高値の花の如く扱う君麻呂。
『どうせ病気で死ぬのだから』といつか自身の身代りになって死んでしまいそうな。あり得なくもない光景が脳裏に浮かぶ。


「不治の病を言い訳にして、俺のために死ぬな」
分厚いカーテンに手を掛ける。それをさっと開け放つとあっという間に日の光が部屋に満ちた。眩しさに目を細めながら、空気を入れ替えようと窓を少し開ける。窓外に拡がる密林に目をやって、ナルトは肩越しに振り返った。



「病気を治したのは、単なる俺の我儘」
――――――――だから気にするな。





部屋を出て行くナルトの背中を目で追う。暫し扉の方へと視線を向けていたが、やがてベッドに身を埋めると「それでも、」と君麻呂は小さく呟いた。

「それでも僕は、ナルト様のために使いたい…―――この命は、貴方が与えてくださったのだから」

そっと目を閉じる。襲ってくる眠気に身を委ね、彼は深い眠りの海底へと落ちてゆく。
再び閉じられたカーテンの裾が、窓から吹き込む午後のそよ風で微かに揺れていた。













「もういい加減、教えてくれてもいいんじゃねえか?」

だだっ広い荒原。古代遺跡に見せ掛けている要塞の周囲には、倒壊した石柱が疎らに立っている。ぽっかり開けた荒原の、その一歩先は獣達の楽園だ。チチチチ…と鳥の囀りが聞こえてくる。
ちょっとしたデート
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