暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
ヘルヘイム編
第17話 7分の6の現実 @
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


 その日、ヘキサはいつものように、ビートライダーズとしてのステージに立っていた。

 いつも通りにゆらゆらとした振りつけのダンスを踊っていた。客もいつも通り、塾や習い事に行く前のちょっとした時間がある児童が集まって、ピンクと黄色のアイテムを曲に合わせて振ってくれていた。

 曲の終符に合わせてポーズを決める。拍手が沸いた。

(やっぱり何も考えずに集中できる一番のことって、ダンスだわ)


 ――ステージが終わった。客の児童たちがどやどやと帰ってから、ヘキサたちは野外劇場の掃除をしていた。

 「いつも通り」でないことは、その時起こった。

 客席のゴミを集めていると、ポケットに入れてあったスマートホンが振動した。

(めずらしい時間のメール。兄さんたち、何かあったのかしら)

 ヘキサはゴミ袋を置き、ポケットからスマートホンを取り出してメールのアイコンをタッチする。メールの差出人は次兄の光実だ。

 メールの文面を開いて読んで、ヘキサは驚愕した。

 クラックとヘルヘイムの存在が明るみに出た日に、秘密を隠蔽するために行われる大虐殺――スカラーシステム。それが今日行われるかもしれないと文面には記してあった。

(これが、貴兄さんと光兄さんが、ずっと抱えてきたものだったのね)

 ヘキサはスマートホンを胸に押し当てた。まるで文章に宿る兄たちの苦悩を抱き包むように、両手でしっかりと。

 そして、思い出す。
 ヘキサは過日、シドと偶然会った。シドは戦って傷だらけになっていた。

(される側だけじゃない。する側も傷つくことがある。一方的に傷つけるだけなわけじゃない)

 ヘキサは再度メールを読む。文末は、ヘキサもビートライダーズの仲間を連れて地下シェルターに避難してくれ、と括ってあった。添付ファイルは、地下シェルターの位置を標した地図アプリ。

 ヘキサは一度だけ瞑目し、毅然と顔を上げた。掃除のために散った仲間たちに聞こえるように声を張って。

「みんな聞いて。大事な話があるの」




 ――ヘキサは自分のスマートホンを、咲はじめとするチームメイトに回し読みさせた。
 メールを読み終わると、皆一様に青い顔をした。

「ウソでしょ――どこまでトチくるってんのよ、ユグドラシル」
「……独裁」
「今からじゃヒナンするヒマねーじゃん! ヘキサ、このこと、街の人たちは」
「知らされてないと思う」

 ユグドラシルのターゲットは街そのものではなく、秘密を知った街の人間なのだ。避難させる気などあるわけない。

 ――それは籠に入れた鳥を、籠ごと川に沈めるのにも、似て。

「ヤバッ、父ちゃんと母ちゃんに教えねえと」
「待って! オトナに教えたら、そこからウワサが広
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ