世田谷東署内落ちこぼれ事件簿1−6
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「部屋にいるな」
二人は世田谷線宮の坂駅近くにある川合清一のアパートに到着した。川合清一の部屋に灯りがついていて、テレビの音も漏れていた。山本刑事は川合清一はアパート二階の部屋にいると確信した。
「よし、お前は念のためアパートの裏に回れ。五分後に踏み込むからな待機していろ」
「はいわかりました」
純平は静かにアパートの裏に移動して待った。
山本刑事は川合清一の部屋のブザーを押した。
「川合さんピザの宅配でーす、川合さんー」
山本刑事は部屋のドアをノックした。
「何だよ何も頼んでねーぞ」
ドアの向こうから近づいて来る声がした。
「ピザなんか知らねーぞ」
ドアが開いて川合清一が顔を出した。
「川合清一さんですね警察ですが、ちょっとお話をうかがいたいのですが」
「警察・・・何も知らねよ」
川合清一はドアを閉めようとした。
「ドアを開けろ!」
山本刑事は強引にドアを開けようとしたがチェーンが掛かったままだったので開けられない。山本刑事が手間取っている間に、川合清一は裏の窓から逃げようと部屋の奥に慌てて移動した。
「裏から逃げるぞ!」
山本刑事は急いでアパートの裏に走った。
アパートの部屋の窓が突然開いた。純平が見上げたその瞬間、待機していた純平のすぐ横に人が人が落ちてきた。
「川合清一だな!」
「捕まってたまるか」
川合清一は飛び起きて純平に殴り掛かった。純平の顔面に衝撃が走った。
純平は腰から崩れて尻餅をついた。
「馬鹿野郎!」
川合清一が逃げようとしたが、起き上がった純平が川合清一の足にしがみついた。
「離しやがれ!」
罵声と一緒に純平は足で踏みつけられたが必死で川合清一の足に食らい付いた。
「鬼平、離せ!」
突然、山本刑事の声がした。純平は訳が分からず、抱きついた川合清一の足を離さなかった。
次の瞬間純平の身体が浮いた。あっという間に純平は川合清一と一緒に投げ飛ばされていた。アパートの裏に駆けつけて来た山本刑事が川合清一の腕を持って一本背負いで投げ飛ばしたのだった。
「鬼平、ワッパだ!」「・・・」
何が起きたか純平は状況がまだ飲み込めなかった。
倒れ込んだ川合清一の腕を絞り上げながら山本刑事は再び叫んだ。
「公務執行妨害と傷害で現行犯逮捕だ。鬼平、手錠だ!」
「はい」
棺から抜き取られた携帯電話は川合清一の自供通りに、アパートの近くにある豪徳寺に隠しと自供した。境内にある招福観音堂脇の奉納台に奉納されている招き猫の中で、一番大きな招き猫の下から出てきた。
犯人の川合清一は、携帯電話を闇の市場で売りさばく目的で盗んだのだが、自分の携帯電話が料金不払いで使えない状態だった事もあり、ちょうど未使用のプリペードカードが一緒についていたので、売り飛ば
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