暁 〜小説投稿サイト〜
時と海と風と
アルマ・クラストールという男
[1/3]

前書き [1] 最後 [2]次話
 草木の一本も見当たらない砂とごつごつした岩だらけの無人島に、四人の男たちが立っていた。
 彼らの容姿は様々で、身の丈二メートル五十センチを超える大男、それすらも上回る巨漢、はたまた一般的成人男性程度の背丈の者もいる。

 そんな四人は互いが互いに向かい合っているわけではなく、また四人全員が肩を並べている訳でもない。三対一。その構図だ。
 そして付け加えるならば、『三』とは海軍本部最高戦力と称される大将の三人、『一』とは見た目歳若い一人の青年のことを指す。

「よう。三大将が揃いも揃って、一体俺に何の用だい?」

 青年が他三人へと問いを投げかける。しかし、問いの形を取っていながらも彼にはその答えが分かっているのか、口の端は皮肉げに吊り上っていた。

 西から吹いた風が彼の黒髪を撫ぜ、前髪の下からは楽しげな光を灯した黒曜石のような漆黒の瞳がちらちらと覗く。

 海軍――絶対正義を掲げ、海賊を代表とした世に蔓延る悪を討滅せんとする全世界規模の軍隊。その巨大な組織における最高戦力こそが今ここにいる三人、海軍本部大将だ。そしてそんな実力者たちと対面しているにもかかわらず、青年の態度は微風を受ける柳のごとく飄然としていた。
 それは、たとえ三大将が相手であろうと己が敗れるはずがないといういっそ傲慢なまでの自負がゆえである。

 青年からの問いに対し、並々ならぬ闘志を漲らせながら彼と相対する男たちのうちの一人――海軍本部大将センゴクは簡潔に言葉を返した。

「貴様を、捕えに来た」
「ははっ、そうかい。まあ頑張ってくれや」

 カラカラと笑いながら青年は軽く流す。やれるものならやってみろ、そんな彼の心の声が聞こえてくるようだった。
 そんな掴みどころのない青年の様子も意に介さず、センゴクは静かに自分たちの意志を告げる。あたかもそれが決定事項であるかのように。

「悪いが今日こそは縄についてもらうぞ、『刻針』の」

 押し詰められたその声に一体どれだけの決意が籠っているのか。決して大きな声ではなかったというのに、それは十メートル余り離れたところに立つ青年の耳にもよく届いた。

「おや、そちらさんは随分とやる気のようだ。……ふむ、なんだい。お前さんたち、もしかして俺を相手に本気で勝つつもりかね?」
「無論。洒落や気まぐれで大将三人を集めるはずもあるまい。貴様を倒すためだけにこれだけの戦力を注ぎ込んだのだ、なんの成果もなしにおめおめと帰るわけにはいかん」
「はっは、そりゃまたご苦労なことで」
「ふん、笑っていられるのも今のうちだ。今回、我らは本気なのだから」
「あーまあ、お前さんたち海軍にゃ俺はかなり美味しい獲物だもんなぁ」

 青年は自身の立場を理解している。

 世界最強。

 海軍から多額の懸賞金
前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ