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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
冥王の堕日
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は透明すぎる。だから何色にも、簡単に染まる。それが人為的なものなのか、自然の産物なのかは別としてね」

ニィ、と人影は嗤う。

それに気圧されたかのように、《声》は何も言えなくなった。

「…………………………」

「く……、ふふ。くすくす、くすくすくす。世界は、運命は、今日も廻っている。その中心は決して神じゃない。じゃあ、誰が宇宙を廻しているんだろうね。ふふ、くふふ」

一人で嗤い出した人影は、そのまま歩き出す。

「待て!」

《声》は引き止めたが、人影は歩調を変えない。

森林の闇の中から歩み出て、丘の中に出る、というところで、まるでその黄色い姿が空気に溶けるように掻き消えた。

隠蔽(スニーク)や、高速移動ではない。それならば《声》の感覚器官が捉えるはずだ。

ただ、本当に消えたように存在がなくなった。

「……………………………」

黙り込む《声》の周囲で、ガサリという草を掻き分ける音が響き渡った。

大小老若男女様々な影達が、そこかしこから出現していた。

「感知は?」

「駄目でした。私達全ての感知可能範囲をまとめて掻い潜ったとしか………」

苦々しく吐き出された報告に、やはり《声》も苦々しくしわがれた言葉を紡いだ。

「………そうか。…………皆、あやつから眼を離すでないぞ。スペアだか何だかは知らないが、災禍をまた目覚めさせてはならぬ。それはこの城に住まう人々の総意じゃ」

御意に、という数十の応えとともに、影達もまた闇に溶け込むように消え去る。

あとには《声》だけが残された。

「…………これもまた、おぬしの手のひらという訳か。小日向相馬」

誰ともなく発されたその声は、丘の上で繰り広げられるコロシアイの奏でる剣戟の中に消えた。










――――性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから――――
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