暁 〜小説投稿サイト〜
Yuruyuri4 the NOVELIZATION
Requirement of HERO
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[1] 最後
 最近、七森(ななもり)中学校ではある都市伝説がブームとなっている。
 その名も、『マヨナカテレビ』。雨の日の午前零時に何も映っていないテレビを見つめると、自分の運命の相手が映し出されるというものである。
 七森中学校に通う二年生、歳納京子(としのうきょうこ)は自身の所属している部活、娯楽部で話すネタにするため、その真偽を確かめようと実際に午前零時にテレビを(のぞ)き込むことにした。砂嵐が掛かったような荒い映像に映されていたのは、何と同じ娯楽部員であり彼女の幼馴染である赤座(あかざ)あかりの姿だった。
 運命の相手を別の娯楽部員、吉川(よしかわ)ちなつだと信じて疑わない京子は、『マヨナカテレビ』の真相を明らかにすべく、あかりと共に学校の近所に新しくできたデパート「ナモリ高岡店」のテレビ売り場へと向かう。その売り場に並ぶテレビの一台が異空間と繋がっており、京子達は奥へと進んでいくのであった――
「――というわけなんだよ、あかり」
「……ねえ、京子ちゃん。あかり、ここまで付いて来る必要あったのかなぁ?」
「あるに決まってるじゃん! あの『マヨナカテレビ』にあかりが映ったんだよ!? 理由とか真相とか確かめようと思わないの?」
「言いたいことは分かるけど……だからってこんな変な場所に連れて来ることないじゃない!」
 あかりの言葉通り、二人を取り巻いている景色は明らかに異質なものだった。周囲に存在するありとあらゆるものから色という色が抜け落ちており、まるでモノクロ映画の中に入り込んでしまったようである。
「周りのものは全部白黒で何か目がチカチカするし、霧で何も見えなくてここがどこかも分からないし……うわぁ〜ん、早くお家に帰りたいよぉ〜!」
「何言ってんのさ、あかり。霧なんでどこにもないよ?」
 京子の言葉に、あかりは泣くことを止めて彼女の方に目を向けた。
 あかりの目には確かに霧に覆われた町――のような風景――が映っている。生まれてこの方眼科の世話になったことのないあかりにとって、自分が見ているものを指摘されることは自身の存在感の薄さを指摘されるよりも想定外のことだった。
「あれ? 京子ちゃんって、眼鏡掛けてたっけ?」
 ナモリのテレビ売り場からこの異空間にやって来る前は確実になかったはずなのだが、京子の顔には確かにお洒落(しゃれ)な赤縁の眼鏡が掛けられていた。
「あ、これ? さっき、そこで『クマ〜クマ〜』って言ってる変なのからもらったんだよ」
「え、嘘!? あかり、そんなのもらってないよ?」
「気付かれなかったんじゃない? あかり、存在感薄いから」
「そんなぁ……あかり、主人公なのに……」
 二次創作の世界でも主役扱いされないことにがっくりと肩を落としていると、不意に建物の陰から何かが飛び出して来た。
 それを一言で表現する
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