暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド〜魔界城の主〜
01:その青年、暁魔城
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!!とジルクニフの体が、内側から膨張した。筋肉が盛り上がり、半人半獣の狼がその場に姿を現した。ジルクニフは獣人――――それも、狼の獣人だったのだ。

「なるほど、人狼(ワーウルフ)ですか」
 
 しかし、あくまで青年の口調は穏やかだった。

「グルガァッ!!」

 人狼がうなり声をあげて迫る。鋭い爪や牙に攻撃されれば、いかな吸血鬼といえども無事ではすむまい。

「あー……あとでラ・フォリアに謝らなければいけませんねぇ……『そびえたて、《ユグドラシル》』」

 瞬間――――


 魔力が、爆発した。住民たちは、青年があらかじめ敷いていた障壁によって守られたが、守られていない空港の通路は大惨事となった。窓ガラスは粉々に割れ、植木は吹き飛び、商品はズタズタになる。そして何よりテロリストの男二人は口から泡を吹き出して気絶し、ジルクニフもまた、鮮血をまき散らしながら吹き飛ばされた。

「ガハッ!!」

 ジルクニフの獣人化が解ける。こつ、こつ、と音を立てて、青年はジルクニフの近くに歩み寄った。ジルクニフが、驚愕と畏怖、そして恐怖のこもったふるえ声で、青年に向かって言った。

「……昔、”伝説の世界樹”の名を持つ眷獣を操る、幻の吸血鬼の名を聞いたことがある……貴様だったのか、《番外真祖》……」
「その名前は五十年位前に捨てましたよ。今の僕は魔城(まじょう)です。(あかつき)魔城(まじょう)

 そう言って、青年――――暁魔城は、にっこりと笑った。


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