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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As 06 「大切な少女」
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無事でよかった」

 安心したことで力が抜けたのか、言い終わるのと同時に身体がふらついた。シグナムはすぐに気が付いたようで、俺の身体を支えてくれた。はやてが先ほどまでと表情を一変させて、こちらに話しかけてくる。

「ちょっ、大丈夫?」
「大丈夫。シグナム、ありがとう」
「気にするな……本当に大丈夫なのか?」
「ここまでずっと走ってきたから……安心して力が抜けただけだよ」

 自分の力だけで立とうと足に力を込めるのだが、上手く立てない。報告を聞いてから極度の緊張状態だったのか、腰が抜けているに近い状態になってしまったのかもしれない。シグナムはそれを察したのか、ベッドの上に座らせてくれた。

「……ショウくん、ごめんな」
「別にはやてが謝ることじゃないだろ。俺がもっと運動しとけば、こんなことにもなってないだろうし」
「そうだな。私がみっちり鍛えてやろう」

 シグナムの発言でシャマルやヴィータが会話に参加し、場の空気は和んだ。だがはやての顔には、まだ罪悪感の色が見える。
 そんなはやてに話しかけようと思ったのだが、会話の流れや明るくなり始めた雰囲気に水を差すことになる。それにシグナムから念話が送られてきたため、完全にタイミングを逃してしまった。

〔夜月、お前に言っておきたいことがある。ただ私が何を言っても顔には出すな〕
〔……分かった〕
〔分かっているとは思うが、主はやてが倒れたのには闇の書が関係している。もっと詳しく言えば、闇の書に内臓されている自動防衛プログラムの暴走が主の身体を蝕んでいるのだ。それが原因で神経が麻痺していっている。このままでは……〕

 はやて達と会話をしながらも、シグナムとの念話は続く。闇の書に関することを次々と明かすあたり、事態は想像していた以上に深刻のようだ。

〔……その侵食を止めるために魔力を集めているんだよな?〕
〔ああ〕
〔だったら……〕
〔我らもそう思っていた。だが……侵食の速度が上がっているらしい〕

 今の言葉が意味するのは、はやての死が早まっているということ。そう理解したとき、強烈な負の感情が胸の中に溢れ始めた。不快感で表情が崩れそうになるのを必死に堪えたり、はやてから顔が見えない位置に移動して誤魔化す。

〔お前の方は何か方法は見つかったか?〕
〔いや……今日から管理局の無限書庫を使っていいことになってたんだが〕
〔そうか……すまない〕
〔謝らなくていいよ。誰が悪いわけでもない……〕

 冷静に返事はできているものの、焦りは刻一刻と増して行っている。
 無限書庫にある情報はその名が示すとおり膨大だ。その中から闇の書に関するものを探すだけでも時間がかかる。そこからさらにはやてを救う術を見つける、または考えるとなると時間が足りるか分からない。

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