暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
仕組まれたコロシアイ
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ンバー全員を包むピリピリした雰囲気はピークに達しようとしていた。

疑いと言う心は精神を蝕み、集団と言う固体を内側から崩壊させる。

誰もが互いを疑い、疑心暗鬼そのものに陥っていた。

「クソッ!クソッッ!どースんだよリーダー!このままじゃ俺達、《冥王》に殺されちまうぞ!」

「一刻も早くここから離れたほうがいいんじゃねぇか!?」

「え?ナニお前、チビってんの?」

「ちげぇって!お前、アイツを見たことねぇからンな口利けんだろぉがよ!アイツだけはマジでヤベぇんだって!」

「わざわざメールに載ってた場所に来たのが間違いだったんだ!なぁリーダー早いとこズラかろうぜ!命がいくつあっても足んねぇよ!」

「なぁリーダー」

「リーダー!」

「リーダーぁ!!」

「あ〜あぁ〜、うっせェぞ手前ェらァ!ちっとは黙りやがれクソども!!」

求める声に汚い言葉で応じたのは、集団の中心にいた男だった。

見た目の齢は、二十代後半あたりだろうか。引き締まったアゴに無精髭を生やし、鋭い眼光はどこか野獣のそれを連想させ、右目のすぐ下から斜めに大きな傷痕が刻まれていた。服装は、繁華街にいるチンピラのような格好の他のモノ達の中で明らかに浮いていた。

ファーコート。

虎の皮をそのまま剥いで加工しました、という感じのそれを、男は肩に羽織っていた。一見粗野でだらしなく見えるが、それが逆に総体として違和感なく男という存在を仕上げていた。

殺人(レッド)ギルド【狂った幸運(ドラッグ・ラック)】リーダー、《凶獣》ノア。

それが男の名だった。

「手前ェらがうるせぇから仕方なく《冥王》から手を引いてみりゃァこのザマだ。どっちみちヤツとは遠からずぶつかってた事だろォし、ちょうどいい頃合じゃねェか」

「でもリーダー!」

それでも何かを言おうとしたメンバーを、《凶獣》はギロリと睨み付ける。

次の瞬間、男の口が()()()()()()

「がッ……………バァッッ!!?」

のた打ち回るメンバーを放っておき、男はつまらなそうに頬杖をついてその場にいるプレイヤー全員を見回した。

「それに、逃げる時間もないらしいしなァ」

は?という顔で固まったメンバーは、ある感覚を得た。

それは圧迫感。

地下鉄のホームで列車が近付いて来た際にやってくるような、空気の塊にも似た感覚。ただ単純に『巨大なモノ』が近付いてくることで巻き起こる、余波のようなナニカ。

「「「「「……………………………………」」」」」

ギチギチ、と。

錆び付いた機械のような、油が切れたロボットのような動きで、殺人者のプレイヤー達は己の背後を振り返る。

振り返りたく
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