暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
6.矛盾
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
は高いのか。まあいい。それでもかなり安いほうだろう。
 こういう場では、男が金を出すのだと父から聞いたことがある。
 先ほどの戦ったことで、所持金は284コルに増えていた。
 アイテムストレージに入っている、モンスターを倒したことで手に入れたアイテムを売れば、更に増えるだろう。
 俺は目の前に出ているウィンドウの【Yes】に触れた。同時に、チャリンチャリンという音と共に所持金から34コルが引かれる。

「はい、まいど。部屋は二階だからそこの階段から上がっていってね。個室は二〇七号室、三人部屋は二〇一号室よ。間違えないでね」

 二〇七、二〇一。頭の中で繰り返し、覚える。
 そして俺は振り返って三人に言った。

「……お前たちの部屋は二〇一号室だそうだ。三人一部屋にしたが、構わなかったか?」
「あ、はい! 全然大丈夫です!」
「大丈夫ッス!」

 金髪の少女と茶髪の少女が元気良くそう言う。
 その横から銀髪の少女がおずおずと口を開いた。

「……あ、あの。お部屋のお代を……」
「あっ! そ、そうですよね。お金お金……」
「あれ? わたしらいくらだったッスか?」

 三人は宿の代金を出そうとした。が、それは止めた。

「……別にいい。モンスターを倒したことで多少なりとも金は手に入ったからな」

 ――槍を買った分にはまだ及ばないが。

 その言葉を飲み込み、俺は続けて三人に訊いた。

「……それより、夕食にしたいんだが……お前たちはもう食べたか?」
「あ、いえ。まだです」
「そーいえば、かな〜りお腹減ってるッスね〜」
「……うん。そうだね」

 そう言って、同時に自分の腹をさする三人。

「……ここは見ての通り、一階は酒場になっている。疲れたなら二階の部屋に行って休んでもいいし、ここで食事をするのも自由だ」

 三人にそう言い捨てて、俺は一つの丸テーブルの椅子へ腰をかけた。
 店内にはちらほらと人――プレイヤーと思われる者たちがいる。しかし、皆一様に暗い表情をしていた。

 ――それもそうか。まだあれから半日も経ってないのだからな……。

 あの茅場晶彦の言葉の後、中央広場いた者たちがどうなったのか、俺は知らない。
 しかし幾ら絶望していても、ここでは腹も減るし眠気もあらわれる。
 そうして行動することを余儀なくされた者たちはどうするのか。どうなってしまうのだろうか。

 ――いや、他人のことを考えている余裕なんて……俺には無いか。

 俺はその考えを振り切るように、首を軽く横に振った。
 そして、気分を変えようと店のメニューを見ようとした。したのだが……。

「お腹減ったよねー」
「色々あったからね」
「でもここって仮想なんスよね? 何でお腹空くッスか
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ