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不老不死の暴君
第四十九話 セアの過去
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ていた」
「まさか――!?」
「ああ、今考えれば破魔石を使ったんだろうな」
「嘘よ!!」

アーシェが叫ぶように言った。

「そんな敗北が確定しているような国に破魔石を使うなんてレイスウォールがするはずないわ!!」
「お前になにがわかる?現実にその男の所業を見ていないお前がなにを偉そうに」

アーシェの言葉にセアは睨みながら答える。
だが、そこにバルフレアが疑問を挟む。

「だが、理解できないのは確かだぜ。緒戦に使うならともかく虫の息の敵を倒すのにわざわざ破魔石を使う意味があるとは思えないが?」
「政治的な意味があったんだろう。グレキアは今のアルケイディアやロザリア程ではないが大国だった。その大国をあの男は一方的に蹂躙してみせたのだ。そうなればどうなると思う?」
「周りの国は下手に出るようになるってか。まったく嫌だね政治ってやつは」
「概ね正解だ。グレキアの滅亡後、奴の下に馳せ参じる国があとを絶たなかった。グレキアと互角の大国であり今のアルケイディアの原形であるキャメロット王国も、だ」
「そうして自分に従う諸国の軍と魔人と破魔石を使ってイヴァリースは統一されレイスウォールは覇王になったってか」
「ああ、バルフレアの言うとおりだ」

セアはそう言うと再びアーシェの方を睨みつける。

「俺から言わせれば覇王もヴェインも大した差はない。どちらも圧倒的な力で敵対する者を排除して理想を実現させる、な」
「そ、そんな言い方・・・」
「お前はアルケイディアに夫と父と祖国を奪われたそうだが、俺の場合に比べれば遥かにましだ!部下も友人も家族も皆殺しにして祖国を物理的に消滅させてくださった覇王に比べればヴェインなど俺には後光がさしているように思えるぞ!!」

セアはアーシェに向かって吐き出すようにそう叫んだ。
その姿を見てヴァンとパンネロは驚く。
セアがこのように激怒している姿など見たことがなかったから。

「しかしいったいどうして君は破魔石の力の直撃をうけて無事だったんだ?」

バッシュがセアに疑問をこぼした。

「さぁな、ただ気を失って目を覚ましたら不老不死になっていた。ただあの時俺は自棄になってたから深くは考えていなかった」
「なるほど」
「それになんでこんな体になったのか調べるにあたってこの旅はなにかと新しい情報が手に入りそうだったんでな。俺は同行することにしたのさ。これであんたの疑問も解決だな」
「・・・ああ」

バッシュがそう言った直後、ン・モゥ族の長老が話しかけてきた。
もう時間も遅いので一泊した後、神殿から出て行って欲しいとのことだ。
なんでもアナスタシス大僧正が殺され神都は喪に服すそうだ。
それに帝国の襲撃で物資もあまりないとのこと。
今回一番損害を受けたのはキルティア教会だ
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