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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第2話「私、帰ってこれた」
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ると膝を折る。

…同時に、構えていた妙なバッグは煙のように彼女の手から消えていた。

「おい!大丈夫か、イダ!グウェン!イダを連れ出す!衣服を探してくれ。モンジンとコウジンは賊を!」

ジェイガンは崩折れるイダを抱きとめると、共にいた二人の女性に賊の捕縛を促し、後から現れた野走…

グラスランナーの少女にイダの剥ぎ取られた服を探すよう指示していた。

「…カラダもペンダントも無事にゃ。よかったにぇ。金目のモンには興味なかった…ってわけじゃないなりね」

グウェンと呼ばれた少女…おおよそ見た目は10歳ほどの子供に見える。だが、彼女はこれで成人していた。

草原の種族グラスランナーは、草原での行動に適応した生態を持つ故か、人間の子供程度の大きさにしかならない。

その素早さは折り紙つきで、生まれながらの盗賊とも言える。だが、遠い昔に交わした草原の上位精霊との契約から

彼らは草の精霊以外の精霊の声を聞くことができない。これらがグラスランナーの大きな特徴だった。

「それには魔法がかかっているようだからな。慎重に扱いたかったんだろうよ。全く、いったい何が…

この車は一体何だ?わけがわからないよ」

ジェイガンの目の前の鉄車…それは、イダの手に握られているフォールディングナイフ…肥後守と同様に、

我々の世界の人間にしかわからないものであろう。それは1999年モデルの「日産マーチ」と呼ばれる車両だ。

かつて、トヨタ自動車のスターレットと人気を二分した、コンパクトカーの一つである。

…如何に軽い小さな車体とはいえ、750kg以上の重さがある。

不意に現れたそれに、頭蓋や背骨…脊椎を叩き潰されては生きていられるものではなかったということだろう。

どこからそんなものが現れたのか、それを知るものは怯える盗賊と、イダだけだ。

そんなことは知る由もないジェイガンたちは、イダと捕縛した盗賊たちを抱えてアジトの外に出る。

アジトの外に出た彼らは口笛を吹き仲間を呼び寄せた。放置されている賊の死体を回収するためである。

「まーまー、何があったのかしらんけど、無事でよかったてばさ」

怪訝な顔でイダを背負うジェイガンに、グウェンは気楽な声をかける。心配なぞするものではないよ、と。

無事だったのだから、それをよしとすべきだ、と。

「それにしても人間にしちゃおかしな趣味にゃ。こんなちんちくりんを剥いて、とかさ?」

楽しげに笑う彼女をジェイガンは窘める。

「人間にも色々な連中が居るだろう。それに、グラスランナーが言えた義理じゃないだろうに」

「そりゃ違いないわさ。にっしっしっし♪」

どこまでも楽しげに笑うグウェンに、真面目なジェイガンはため息をひとつついて、
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