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Element Magic Trinity
少女と亡霊
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「ハッピー、ルーさん、知ってるの?」

面識はないがその名は知っている。
楽園の塔にて敵対した男。

「知ってるも何もコイツはエルザを殺そうとしたし、評議院を使ってエーテリオンを落としたんだ!」
「そのせいで評議院は破壊されたし、ナツとティアだって大変な思いしながら戦ったんだよ!」

ハッピーとルーは喚く。
それを聞いたウェンディはジェラールを見つめ、その体を小刻みに震わせて俯いた。

「そうみたいだね・・・」
「生きてたのかコイツ〜」
「むぅぅ・・・ナツとティアが倒したはずなのに」

2人は憎々しげにジェラールを睨む。

「この男は亡霊に取り憑かれた亡霊・・・哀れな理想論者。しかし・・・うぬにとっては恩人だ」
「ダメだよ!絶対こんな奴復活させちゃダメだ!」
「そうだよ!コイツのせいで沢山の人が傷ついたんだ!」

ハッピーとルーはウェンディを見ながら叫ぶ。
が、ウェンディは俯いて震えるだけ。

「「ウェンディ!」」

2人の声が重なる。

「早くこの男を復活させぬか」

そう言うブレインの手に、1本のナイフが握られる。
そして、そのナイフはジェラールの右腕に突き刺さった。

「・・・!やめてぇーーーーーーーーーっ!」

ウェンディの悲鳴に似た声が響き渡る。

「あう!」

すぐにブレインの杖がウェンディを殴り、ウェンディはドカッと近くの壁に飛ばされた。

「治せ。うぬなら簡単だろう」
「ジェラールは悪い奴なんだよ!ニルヴァーナだって奪われちゃうよ!」
「コイツはジェラールを最後まで信じようとしたエルザも裏切ったんだ!そんな奴を治しちゃダメだ!」

ブレインは命令するように言い放つ。
ハッピーとルーはウェンディを説得するように叫んだ。

「それでも私・・・この人に助けられた・・・私だけじゃない・・・アラン君も、ココロちゃんも・・・」

ウェンディの体が小刻みに震える。
その握りしめた拳に、ポタポタと雫が零れた。


「大好きだった・・・」


ボロボロと、ウェンディの頬を大粒の涙が伝う。
その姿と言葉にハッピーとルーは言葉を失い、ブレインは薄い笑みを浮かべた。

「何か・・・悪い事をしたのは噂で聞いたけど、私は信じない」
「何言ってんだ。現にオイラ達は・・・」
「きっと誰かに操られていたのよ!ジェラールがあんな事するハズない!」

ハッピーの言葉を遮るように、ウェンディが叫んだ。

「お願いです!少し考える時間をください!」
「ウェンディ!」
「何言って・・・!」

ウェンディの頼みに対し、ブレインは少し考えると口を開いた。

「よかろう。5分だ」

猶予は5分。
ウェンディは涙を浮かべてジェラールを見つめた。
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