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赤城と烈風
前史
波瀾の種
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 並行世界分岐の端緒は陸軍の長老、山県元帥が最前線を視察の直後と思われる。

 西暦1905年2月某日、帝政ロシア陸軍の野砲陣地は撃ち捲った。
 38年式野砲は撃ち返しても届かず、駐退機が無い為に数倍の射撃間隔を要する。
 奉天強攻策の影響で弾薬の備蓄も僅少、戦線崩壊を避け専守防衛の窮地が続く。

 元奇兵隊参謀は質と量の隔絶、圧倒的劣勢を実感して東京に戻った。
 講和後に権益売却、大陸から撤退も辞さず海軍の実務家と協調を選ぶ。
 山本権兵衛の海峡防衛論に頷き、産業基盤の整備と戦費返済が進む。

 合州国総領事ストレート着任後、鉄嶺が南北勢力圏の境界となる。
 黒龍江省も掌握の為、法庫門〜新民屯鉄道の敷設権を買い取った。
 野望を援護の為、大白色艦隊(グレイト・ホワイト・フリート)も動く。
 1908年10月、合州国製の戦艦16隻と東京湾で実弾射撃訓練が実施された。
 『富士』『八島』の遠距離射撃に驚愕、戦慄を覚えた艦長は多い。

 1909年ロシア皇帝は黒海南岸占領を優先、哈爾浜(ハルビン)以南の鉄道を高値で譲る。
 旅順港出航の戦艦16隻が福建県三沙湾にも停泊、香港沖実弾射撃訓練の影響は無視できない。
 露清国境の愛琿(アイグン)に緩衝地帯北上、渤海沿岸の錦州港と鉄道で直結の暗躍も進む。


 1689年に帝政ロシア東方進出最前線、阿爾巴津(アルバジン)砦が陥ちた。
 ネルチンスク条約明記の露清国境は額爾古納(アルグン)河、外興安嶺(スタノヴォイ)山脈。
 ?第(ウダ)河地方帰属は譲らず、アルグン河以南ロシア人退去後も獲得の道を探る。

 第二次アヘン戦争の最中、1858年の愛琿(アイグン)条約締結で黒竜江省北側を奪った。
 北京条約締結時1860年《共同管理地》も奪い、日本海北岸に軍港を築く。

 1917年ロシア革命の勃発後、鉄嶺軍の最高指導者は東三省の実権を握った。
 2月ザバイカル軍指導者セミョーノフ配下、シュテルンベルク男爵が鉄嶺を訪れる。
 外モンゴル掌握の援軍を得て、スタノヴォイ山脈以東も実効支配の構想は潰えた。

「合州国大統領の調停で連合軍が撤退の場合、ウラル山脈以東を貴国勢力圏と認める」
 英仏連合軍の侵攻、競争者支援に評議会(ソヴィエト)議長は焦った。
 合州国首都に特使派遣の画策は実らず、密約提示後に黒竜江渡河、沿海州進撃の準備が進む。
 1920年1月10日《国際連盟》発足時、スタノヴォイ山脈以南の領有権に異議は確認されていない。


大白色艦隊(グレイト・ホワイト・フリート)主力、戦艦16隻(排水量、備砲、最大速力)
『ミズーリ』『オハイオ』(1万2500d、35口径335_砲2基4門、50口径152_速射砲16門、18?)下記16隻、合州国製
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