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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第82話 人ならざる者たち
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「そうしたら、こちらから聞きたい事が有るんやけど、構わないか?」

 王子の影武者と言うよりは、タバサの使い魔。……いや、むしろガリアの花壇騎士としての顔でそう問い掛ける俺。
 そう。ここ最近、ずっと顔を合わせて居たのはマジャール侯爵の関係者ばかりでしたから、どうしても情報……。それも、ガリアの諜報部が掴んでいる情報からは遠い位置に居たので、必要な情報が不足気味でしたから。
 主に軍事や政治関係の情報が。
 其処に、コイツの登場ですからね。ここでコイツ……北花壇騎士団所属ジョルジュ・ド・モーリエンヌから聞き出せる情報を、洗いざらい聞き出すべきでしょう。

 そう考え、周囲にシルフの音声結界を構築。
 その瞬間、周囲に溢れて居た、このハルケギニア世界では初御披露目と成った最新の楽器ピアノの柔らかな調べと、貴族の集まりに相応しい上品な話声が一切聞こえなく成り……。
 そして、それとほぼ同時に別の術が起動され、俺の仙術に重なり、世界の理が僅かに歪められる違和感を覚えた。

 これは……。

 普段通り、俺の右隣に用意した椅子に腰を下ろし、膝の上に書物を広げたタバサは、我関せずの様子で和漢の書物に視線を上下させるだけ。
 対して、左に目を転じても、其処には右側の少女とまったく同じ姿勢で椅子の上にちょこんと腰を下ろし、和漢の書物を紐解く少女……湖の乙女が存在して居るだけ。
 当然、彼女の方も術を行使した気配は有りません。

 但し、ふたりともそれはポーズに過ぎない事が、俺が視線を向けた瞬間にほんの一瞬だけ発せられた雰囲気で証明されています。
 おそらくこれは、ふたりともが出遅れた事を悔やんで居る、と言う事なのでしょう。
 ならば……。

 顧みた右斜め後方。そして、その先から見つめて居る黒髪の少女と視線が交わる。
 その瞬間、彼女に相応しい柔らかな微笑みが返された。

 軽く右手を挙げ、彼女が発した微笑みに報いるにはかなり不足気味なのですが、俺自身の微笑みを返し、再びジョルジュの方に向き直る俺。
 すると、其処には何やら人の悪い笑みを浮かべた真の貴族が存在して居たのですが……。

「あの十一月(ギューフの月)のスヴェルの夜に顕われた邪神と、その眷属の行方については、何か判った事は有るのか?」

 但し、そんな些末な事など素直に無視した俺が、今、一番気に成って居る内容に付いての質問を行う。
 そう、あの夜に顕われたクトゥルフ神話に登場する邪神の内、クトゥグアの触手と、炎もたらせるモノに関してはすべて退治出来たと思います。が、しかし、黄衣の王、風に乗りて歩むもの(イタカ)、それに、星間を渡るもの(ビヤーキー)に関してはそう言う訳にも行きませんでした。
 まして、風に乗りて歩むものと、黄衣の王に関しては、ほ
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