A's編
第三十一話 裏 後(なのは、レイジングハート、リィンフォース、武装隊、すずか)
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高町なのはは空を駆けていた。
その背中に蔵元翔太の声援を受けて。今のなのはであれば、何者にも負けないような気がしていた。少し浮ついたような、ふわふわしたようなそんな気分である。
彼女が向かう先は、翔太が横になっていたビルの屋上から少し離れた空だ。そこでは、なのはが召喚した守護騎士たちが闇の書の管理人格と思われる女性と戦っていた。
シグナムが炎を纏わせた剣で斬りつけ、ヴィータがその体躯に似合わない巨大なハンマーを振るい、シャマルが後方から援護し、ザフィーラが、闇の書から出される攻撃をその肉体と防御魔法で防ぐ。
それは守護騎士としての一つの形だ。だが、それらを駆使したとしても闇の書である彼女にダメージが与えられたとは思えなかった。いや、攻撃自体は当たっている。シグナムの炎が、剣が、ヴィータのハンマーが、それぞれ確実に闇の書に命中している。
しかし、しかしながら、それだけだ。
不可視の衣を羽織っているように闇の書の本体へは攻撃が通らない。そよ風が当たっただけのように平然とその場に佇みながら、逆に攻撃を仕掛けられる始末。常人ならば彼女を恐れて撤退していたかもしれない。
だが、彼らにそれはできない。なぜなら、主である高町なのはから受けた命令は、闇の書への攻撃なのだから。システムであり、騎士である彼らに『撤退』の二文字はありえない。
そんなことは、なのはも承知の上だ。そもそも、彼らにはそこまで期待していなかった。闇の書と彼らの魔力の量には圧倒的ともいえる量があったし、何よりも例え、なのはが彼女を××したいと思ったとしても、彼女は闇の書であると同時に翔太が世話をしていた八神はやてでもあるのだ。翔太の意向を聞く前にどうこうできるはずもなかった。
なのはが、彼らに望んだことはただの時間稼ぎで、それ以上でもそれ以下でもなかった。
その点だけでいえば、彼らは自分の役目を十分に果たしているともいえる。
先ほどまで激しくぶつかっていた両者だったが、なのはが戦場に現れたことで一時的に仕切り直しになったのだろう。守護騎士たちはなのはの周囲に集まり、闇の書は少し離れたところから様子をうかがっていた。
もちろん、お互いの間に気を緩めるというようなことはない。お互いにお互いの出方を見守っているというほうが正しいのだ。どちらかが動き出せば、即座に先ほどと同じ光景が始まるだろう。ただし、今度はなのはを加えて、のこのとではあるのだが。
「主、申し訳ありません。なんら成果はなく―――」
「別にいい。そんなことよりも―――止めるよ」
様子をうかがっていたなのはの隣にシグナムが申し訳なさそうな顔で立つ。しかし、なのははその謝罪を一蹴し、次の指令を与える。
なのはからして
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