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消耗品
第三章
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るが中身のない打線を見事に封じたのである。
 その経緯も見てだ。二人はまた話したのだった。
「やっぱり権藤さんだな」
「そうですね。あの人が声をかけたからですね」
 ピッチャーが奮起できた。それも見たのだ。
 その試合は中日の勝ちに終わり中日投手陣自体が好調だった。彼等の練習、あくまで投げることをあまりしないその練習を見ながらだ。先輩も若い記者も話した。
「投げるだけじゃない。消耗品だからこそ」
「それがわかっている人だからですね」
「こうして。ピッチャーが明るく投げられるんだな」
「そうなんですね」
 笑顔で話す二人だった。中日投手陣はその権藤の指導を受けながら練習を続けていた。それは自分達を理解してくれる人がいてくれて安心している、そんな笑顔での練習だった。
 その笑顔を見てだ。また言う二人だった。
「今年の中日もいけるかもな」
「ですね。落合さんがいなくなって不安もありますけれど」
「それでも権藤さんがいてくれたらな」
「少なくともピッチャーは安心できますね」
 こう話してだ。中日の記事を書くのだった。ピッチャーのことを知る野球人がいるそのチームを。


消耗品   完


                   2012・2・28

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