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この夏君と・・・・・・
帰り道
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夏目先輩がいた」
「そう……だけど」
「にぃ、私に隠してること無い?」
「っ…………」

 俺は声のトーンが大幅に下がった梢の方を見た。
 
(――こわっ)

 梢の顔は今まで見たことがないほど怖い顔をしていた。
 しかも何か隠しているかどうかまで聞かれたということは……

(もしかして梢は夜のできごとを知っている……?)

 もしそうだとしたらなんで、という疑問は残る。
 それに、知らない可能性も多く残る。
 だから俺は最後までごまかし通すことにした。

「隠してること、ね。――とくに無いけど」
「本当に?」
「ああ、本当だ」
「そう……分かった」

 そう言うと、梢は笑顔を見せいつも通りの明るいキャラに戻った。

「何もなかったならよかった。でもこれからはあんまり夜中に外に出ちゃだめだよ? 寝不足になっちゃうからね」
「分かってる分かってるって」

 それから俺たちは家まで楽しく会話をして帰った。
 そうして家の前に着いた時、

「にぃ、先家に入ってて。ちょっと用事思い出しちゃった」
「えっ、どこに?」
「学校! ちょっと遅くなるかもしれないから夕御飯はコンビニでもいって買って食べて!」

 そうしゃべりながらもう梢は走り出していた。

「お、おい梢……」

 ものすごいスピードでいなくなっちまった。

 まあ、いっか。今日中には戻ってくるだろ。
 そう考え俺は家の中に入った。
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