暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【上】
二十二 無明の闇
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
すると、要塞の中枢にいる零尾の姿が自然と脳裏に浮かんだ。



零尾を従わせるには、零尾を口寄せする術式がまず必要となる。
もっともその術式は案外早く見つけ出せた。しかしながら口寄せしたところでその力を御するには、零尾抑制の術式をも探し出さねば意味が無い。だから零尾関連の巻物を探し求め、再び世界を渡り歩いたのだ。
木ノ葉の里から盗んだ巻物に記述されていたのは、闇のチャクラに関しての他に、零尾抑制の術式。
口寄せの術式にその術式を加筆し、共に石盤に施す。そして復活した零尾を否応無しに服従させた。
石盤に繋がれている限り、零尾はこちらの思うままに動く。零尾を統御する術式さえあれば、空の国に恐いものなどない。


だというのに、今現在覇気で吹き飛ばした少年は挑発めいた言葉を発した。
要約すれば「巻物を寄越せ」だ。
十一年掛けてようやく見つけ出した巻物をそう易々と手放すわけがない。それ以前に、なぜ巻物の存在を知っていたのか。
(巻物奪回のために送り込まれた、木ノ葉の手の者か?)
砦に侵入した不届き者の正体を検討する。どういう魂胆で巻物の事を口にしたのか、今一つ合点が行かなかったからだ。しかしながら闇のチャクラを思い通りに扱える今となっては、そんな事を考える時間すら無駄に思えた。

足の爪先から頭の天辺にかけて、闇のチャクラが全身の隅々まで駆け廻っているのがわかる。無線で会話を村人に聞かれたのは失策だったが、それすら忘れてしまうほどの素晴らしい快感。体中に力が満ち溢れ、それを解放せずにはいられない衝動に駆られる。実に爽快な気分だった。
「ただの身の程知らずのクソガキだったようだな」
感に耐えないとばかりに満ち足りた表情で神農は笑う。そしておもむろに力を下腹に込めた。


「闇のチャクラの力は零尾を復活させるだけではない。使い方によっては……こんなことも出来る!!」
ウオオォオオオオと咆哮する。それに呼応するかの如く、床に施された円環が光り輝いた。

神農の筋肉が急激に盛り上がる。筋力の激増に相俟って上半身の服が弾け飛んだ。
乾き切った唇は艶を乗せ、白髪はふさふさと波打つ黒髪に。落ち窪んでいた瞳は爛々と輝き、皺を刻んでいた皮膚は張りのある瑞々しい肌へ早変わりした。

寸前より遙かに逞しい顔立ちで、神農は「ククク…」と相好を崩す。
「これが【肉体活性の術】。この究極肉体を持って、初めて死門までの八門を全て開放する事が出来る…」


以前の神農と今の神農の姿。その差は瞭然として明らかである。長身で肩幅の広い点は変わらないが、彼の身体が変化した事は顕然たる事実であった。
今や神農は、鍛え抜かれた若々しい肉体を手に入れていた。闇のチャクラを無限に生み出す零尾あっての現象。

血色が良い神農に反して、香燐は顔を
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ