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SAO編−白百合の刃−
SAO11-涙を繋ぐ絆
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いるのか!」

 回避にだって限度はある。大人数相手に一人が攻撃してくれば回避した私を、簡単に攻撃を当てられることが出来るのだから。普通なら、一体の私よりも遥かに八倍の人数のオレンジプレイヤーが有力に決まっている。これが暴力の数。集団戦法に単独で打ち破るのは普通なら困難である。

“普通ならばね”。

「な、なんだ、こいつ……」

 一人のオレンジプレイヤーが“ようやくことの事態”に気づいたようで、戸惑いの表情を浮かべ手を止めてしまった。一人、また一人と……斬撃の雨が止むように次々と攻撃を停止してしまう。

「くそ! な、なんで……」

 疲れ果てたみたいで、ヨロヨロに剣を叩きつけてくるから、余裕をもって右に華麗に回って避ける。

「なんで、なんで……っ」

 そして一人の男がオレンジプレイヤーの戸惑いを決定づけるように叫び上げた。

「なんで……攻撃が、当たらねぇんだよ!!」

 その叫びが呼び水となって、賊の八人は数歩下がる。そして攻撃の雨は完全に止んだ。

「どうしたの? 私を殺す気じゃなかったの?」

 ふとロザリアに一瞥してみると、異常なものを見るように顔を歪めていていた。

「ねぇ、ロザリアさん。これだけのオレンジプレイヤーがいてもさ、殺せるほどの力が届かないなら、大人数なんか意味ないよね」
「なっ……」

 ロザリアさんは絶句する。
 私が避けられるのが上手なのは、システム外スキル、『ステップ』のおかげ。足踏みが華麗になるだけじゃなく、回避が上手になる。要は足踏みが良いから回避も良くなるって効果。そのスキルを私は身につけているだけじゃなくて、絶対に回避出来ない攻撃にはユニークスキルの『絶対回避』を所々使用しているから、相手から見れば“回避が化物なみに上手”なプレイヤーだと思いこまれているだろう。
 流石に全部は避けられないけど、連続で受けなければ、戦闘時回復《バトルヒーリング》スキルによる自動回復でやられることはない。いや、私が回避しなくても彼らのレベルでは殺すまでの力は届かないだろう。
 どっちにしろ、ロザリアさん達では私を殺すことはできない。

「どうする? いくらやっても倒せないみたいだし、まだやる? あ、ちなみに私のレベルは80だから……せめて同レベルぐらいならないと私に勝てないかな〜? なんてね。」

 ここで私のレベルを公表したのは、彼らが策略を練り、攻撃し続けても無意味だから降参しなさいと言う意味を込めて発言した。
 男達は愕然としたように口を開け、立ち尽くし、驚愕が恐怖へと変わっていった。

「そ、そんなの……そんなのありかよ……!」

 残念ながら、ありなんだ。ありになってしまうのだ。
 やがて、賊の一人である、両手剣士がかすれた声で言う。

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