暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
少年と女性
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余裕綽々の表情で見ていたが、無罪放免する気になったのか笑みを浮かべて言った。

「まぁいいわ。それじゃ、部屋に行こっか」

「は?部屋?」

何だろうそれは。

ここに泊まるつもりなど、レンには一切なかった。最前線級の殺人者(レッド)達と言えば、かなり少ないとはいえゼロではない。PKKが自分よりも強いレッド達に復讐されるなど笑い話を通り越して滑稽なだけだ。

半ば放浪状態で最前線を離れたとはいえ、レベル的数値だけは合わせておきたいというのが人の心だ。

だからレンは、適当な所でこの女性からトンズラし、最前線近くの階層でのレベリングをするつもりだったのだ。眠りたい時には、そこら辺の安全地帯の中で寝袋に潜り込めば良い。

しかし、レンの心にはまたしてもあの正体不明な感情が再臨していた。

―――まぁ、夜の狩りは集中力がすぐに切れるからね、うん。

半分宿泊することへの言い訳のように胸中で呟いた後、レンは何が面白いのかずーっとニコニコ笑っているリータに向かって言葉を紡いだ。

「ん、わかった」

次いで、椅子を立ってチェックインをすべく、カウンターの方向へ足を向かわせようとすると。

「あ、レン君。チェックインなら大丈夫だよ。お姉さんがしといたから」

本人かパーティーメンバーしかできないチェックインをどうやってしたのか。普段のレンだったら、コンマ一秒でその恐ろしい答えに行き着いていたのであろうが、しかしなにぶん今夕食をたらふく食べた後、すぐに眠ることができるという充実した事実は、普段から身を削るような戦場の中に身を置いている少年には充分過ぎた。

またも生返事を返しつつ階段を覚束ない足取りで上り、「おやすみ〜♪」という言葉とともに隣の部屋に消えていくリータの青髪を見届けた後、己が部屋のノブを回した。

安い割には結構広々としている部屋を一気に横切り、ベッドに勢いよくダイブする。

新品で清潔なシーツの匂いを嗅ぎ、早速下りてくる目蓋を懸命にこじ開けながら手を伸ばしてベッド脇の壁をタッチする。

ポーン、という電子音とともに出現したウインドウ。

その中の照明ボタンを押しながら、レンの意識はもうすでに夢の世界へと旅立とうとしていた。

薄れていく意識。

部屋が、建物が、暖かな温もりを提供して来るのを感じる。

―――たまにはこーゆーのもいいかな…………。

そんなことを思いながらだったから、レンは突如として静寂の中に割り込んできた声に通常通りの反応を返すことができなかった。

「おやすみ、レン君」

「ふぁ〜い、おや……すみ…………」

……………………………………………………………………………………………あれ?

と、頭の片隅がささやかな疑問を提出するが、レン
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