暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
矢車草の名を持つ者
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かり合いたくとも、解かり合えない。解かり合えたくない。

人を殺した瞬間から、たとえそれが自らの命の恩人であったとしても、その人は《バケモノ》になってしまうのだから。《バケモノ》に、見えてしまうのだから。

だけど――――

だけど――――

だけど――――

ソレは言った。

レンの想像だにしていなかったことを、言った。

「ありがとう」

震えながら

そんなことを言った。

《バケモノ》に。血塗れの《バケモノ》に、言った。

だから、想像していなかったことを言われたから、レンの脳は一瞬にして混乱(パニック)状態になってしまった。

結果、まだまだお子様な少年の口元から飛び出たのは

「え、あ、あ、うん。ど、どーいたーまーて」

というものだった。

どもり過ぎな上に、噛んでしまった。

超恥ずかしい少年に、新たな黒歴史が誕生した瞬間だった。

レンのその言葉に誘発されたのか―――レンにしててみれば認めたくないことであろうが―――女性は花がほころんだように笑った。

見た者を明るい気持ちにさせるような、そんな屈託のない笑顔だった。

ついで、その女性は唐突に口を開く。

「リータ」

「え?」

思わず聞き返した少年に、女性は微笑みかけながら、もう一度言った。

「私の名前。矢車草って意味なの」

「リー……タ」

それが出会い。

真っ黒になってしまった透明な少年と、矢車草の名を持つ女性が出会った、始まりの一幕。

それが後に、アインクラッド全てを震撼させる《あの日》に繋がっていく事を、この二人の登場人物が知る由もなかった。










――――思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから――――
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