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パンデミック
第四十五話「過去編・突然変異種との交戦」
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飛びついた突然変異種は、レックスに何もせずそのまま横切った。

いつの間にか、レックスは刀を抜いていた。抜刀した瞬間を誰も見ていない。
そのまま素早く日本刀を鞘に納めた。
キンッと納刀する音が聞こえた瞬間………突然変異の四肢、胴体、頭が何十とバラバラになり、
一瞬のうちに血の海と肉塊に変わった。


「おい、見えたか?今の……」

「いいや……相変わらず、すげぇ……」

レックス隊の兵士でさえ、レックスが何をしたのか分からない。それほど素早いということだ。








タガート隊も、少なからず損害を受けていた。
既に2人兵士が殺された。

「レックスの方はカタがついたか……」

タガートは仲間の死を見ても、決して怒りも悲しみも表に出さなかった。
"取り乱せば負け"がタガートのポリシーだった。

「グガァァァァ!!」

突然変異種がタガートに向かって咆哮し、突っ込んできた。

「冷静さを無くした奴に勝ちはこないぞ………」

タガートの言葉に耳をかたむけず、突然変異種はタガートを刺し貫こうと腕を突き出す。
しかし………

「ふんっ!!」

素早く突然変異種の真下に潜り込み、突き出した腕を掴み、一本背負いを見舞った。

「グゲッ!?ゴガガッ……ゲブ……」

一切の手加減を抜いた一本背負いは、突然変異種の背骨を砕いた。




あっという間に、突然変異種2体が倒された。



「お前ら!!あの2人に続くぞ!!」


タガート隊の兵士が、他の兵士達を鼓舞する。
その瞬間………

ガリッ グチュッ


「ぐぉあ!?」

兵士の腕に、感染者が噛みついてきた。

「クソッ!離……せ……!?」

噛まれながらも、驚愕した。
噛みついてきたのは、ついさっきまで共に戦っていた兵士だった……


「畜生………覚悟はしてたが………!!」


コープスウイルスが絡む現場で注意すべきなのは、"仲間が敵に変わる"ことだ。
敵は感染者や突然変異種だけではない。仲間ですら疑わなければならない。


「手を止めるな!躊躇うな!発症すればただの敵だ!」

ヴェールマンから、正しくも悲しい言葉が飛んできた。
手を止めていた兵士達が、嘆きながらも戦いを続行した。







「クソッ、早くこの地獄から抜け出したい……」

フィリップの嘆きに、ブランクが喝を入れる。

「しっかりしろ。俺達が弱気では誰も救えない。怖いのは皆同じだ」


「……………そう、だな。すまない」


突然変異種が、ブランクとフィリップを睨む。



「行くぞ、フィリップ」

「あぁ、任せてくれ」
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