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自由惑星同盟最高評議会議長ホアン・ルイ
第三話
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 新たに議長に選出されたホアンはオフィスを替える時間を惜しんだが、いかんせん必要な設備や人員が入らない以上替えざる終えなかった。
 議長室に入ったホアンが初めに統合作戦本部本部長へ通信を行った。当然、ヤンのことについての情報収集だ。その報告を聞いてホアンは狼狽した。数時間前、ヤンはヤン元部下によって連れ去られたというのだ。あげくレベロはヤンの元部下に捕まっているしい。ホアンは軍の警備の雑さが若干気になったが、それよりもヤン自体を通してヤンの元部下の説得を図る目論見が費えたことを問題だった。レベロからホアンに政権が変わったとしても、ヤンはともかく元部下達は政治家全体への不信感があり未だに事態の打開とはならない。ヤンを通してが無理になってしまった以上、今度は他の人間を当てるしかない。急を要するのでハイネセンにいるヤンの元部下と言い表すには若干御幣があるかもしれないがひとまずアレックス・キャゼルヌ後方勤務本部長代理が交渉に当たることになった。
 ひどく手間がかかったがホアンの思惑通りキャゼルヌはヤンを説得するのに成功した。キャゼルヌ自体ホアンを信用していなかったわけではないが、一応本当にヤンを帝国に引き渡すつもりがないかどうか自身で調べ上げた。そして軍内部でホアンの頼みでヤンの逮捕を遅らせたという人が複数見つかった事は十分信用にたるとした。ヤンの元部下でシェーンコップなどは未だに完全に納得してはいないようだったが、ヤンが決めたことには逆らうことはなかった。

 ホアンは交渉に成功したヤンと面会し、同盟政府として不当な逮捕を謝罪した。ヤンはそれを受け入れた。ヤンは自分が知る限り始めて民主主義の自浄作用的なものが働いたことが若干うれしかったのだ。
 ひとまずの謝罪が終わったとホアンは話を切り替えた。
「高等弁務官レンネンカンプ氏のことだが…」
 キャゼルヌがヤンとの交渉を済ませた時点でヤンはレンネンカンプを既に拘束しており、その拘束している期間中にレンネンカンプは自殺してしまった。このことが何を意味するかはヤンも理解していた。
「帝国に開戦の口実を与えることになった」
 別にホアンはヤンを責めるつもりはない。ただの状況確認だ。
「帝国がふただび戦争を仕掛けてくる可能性は十分にある」
 レンネンカンプさえどうもなければ問題がなかった。
 もしレンネンカンプがどうともなかったら、ただの同盟内での騒動だけで何とか抑えることができたかもしれない。その上でホアンは帝国に内政干渉だと主張するつもりだった。そしてヤンはこのまま再びもうしばらく一般市民として生活できるはずだった。
 同盟に派遣されいていた高等弁務官が死んだことは帝国のプライドを大きく損なうことになった。何かしらの行動をとってくることは疑いようがない。
「すまないがヤン提督、また帝国と戦って
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