第二章 [ 神 鳴 ]
三十話 次代へ…
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う神奈子こそ一人寂しく何やってるの?」
僕の問い掛けに神奈子は少し眉を吊り上げたが、僕は気にせず神奈子の隣に腰を下ろす。
「一人寂しくは余計だよ、……ちょっと考え事をね…」
神奈子はそう言うと視線を戦場跡に戻し黙り込んでしまう。僕も言葉をかける事はせず僕達の周囲はただ微風の音だけが響く静かな空間になっていた。
長い様で短い様な時間が流れ不意に神奈子が口を開く。
「早希…だったね、あの子に言われた事が何ていうか心に刺さったんだよ…いままであんな風に言われた事がなくてね…」
神奈子は彼方を見つめながら独り言のようにそう呟く。早希が言った“楓様が何か悪い事したのか、私が何か悪い事したのか、諏訪子様が何か悪い事したのか”…僕の胸にも刺さった。
あの大戦で指揮を取っていた僕達にはそれ相応の責任がある。誰に怨まれても仕方が無い立場だ“戦だから仕方が無かったな”どと軽々しく言える訳も無い。
「“大和の為に”ただそれだけを胸に邁進していたつもりだったけど…もしかしたらあたしは責任の重圧から逃げていただけなのかもね」
自虐的な笑いを浮かべながら神奈子は心の内を僕に吐露してきた。きっとそれは戦で指揮官という同じ立場に立っていたからだろう。正直そんな風に本心を見せてくれるほど気を許してくれているのは嬉しいけど同じ立場だったからこそ言わなければいけない事がある。
「なら懺悔でもする?後悔すれば何か変わるの?誰に許しを乞うの?奪ったものは返せないし無くしたものは取り戻せない、それは絶対だ。今更後悔した所でどうしようもないよ、それに神奈子がそれを悔いたら今までに命を落とした全ての者が無駄死になる、だから誰に何と言われようと、自分自身で後悔に焼かれ様と傲慢に胸を張って責任を背負うのが“将”の務めだよ。甘ったれないで――――なーんてね、偉そうに言ってみたけど僕も神奈子と同じなんだよね」
一瞬呆けた様な顔をしていた神奈子だが、アハハハと笑う僕を見ると呆れ顔になりそして一緒になって笑い出した。
「あんたに説教されるなんてね―――――確りしてるのか、抜けてるのか本当に分からない奴だよ」
「僕は僕だからね、まぁ僕達は色々似た者同士なんだよ。だからそういう愚痴なら何時でも言ってね」
「……そうだね、そうさせてもらうよ」
そういって再び二人とも笑い出した。気持ちを共感できる相手が居るというのはそれだけで嬉しいものだから、安心できるから、胸を貸りる事が出来るから。
「それじゃ帰ろうか」
僕は立ち上がり気障っぽく神奈子に手を差し出すと神奈子は呆れた顔をしながら手を取った。
「似合わないから止めときな」
「非道いなー」
そんな事を言い合いながら家である諏訪大社に向け帰路につ
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