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THE HOBI〜第一章 選ばれし者たちと祈りの力〜
第五話 『逃れの町』
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―時変わり五年後…―


メシアの母が亡くなってから早五年が経つ。その後メシアの行方を知る者は居ない。平和の村エリコは神話となり、跡地は木片一つ残っていない。
ある者はエリコは存在すると、ある者はそんな場所は存在しないと…。
この五年でallは戦乱の世となり、何万と言う人が死んでいた。
「我こそは王」…そう言う者が絶えず死んで行き、国が治まる事は無く、裏切りと殺しが横行していた。
中でも聖地エル・シャーロムでは支配権を巡り国同士、種族同士がぶつかっている。







―逃れの地シケム―

ここはエリコの北の荒野を越えた〈逃れの町シケム〉。
ここが逃れの町と言われる所以は、罪を犯した者達が親族や法から一時的に逃れ、審判を待つことが出来る数少ない安息の日を送る場所だからである。
治安は悪く事実逃れても殺しは日常茶飯事であり、この町に神なしとも言われる。
そんな地で一人足を踏み入れた青年が一人。

「ザクッ!」っと強く地面を踏み、木でできた門に立ち入る。

「ここが…逃れの町か」

すると離れた場所から男の怒鳴り声がする。「帰った帰ったッ!お前らの泊まる場所はねー!!」
近くの女や男は何やらひそひそ話をしている。

「おい、何かあったのか?」青年が女に訪ねる。

「え、えぇ。あの有名な一家が寝床を探しています…みな呪いを嫌いますので無視をしてます」

「有名な一家?」
「ご存知無いのですか?」
「知らないな」
「有名なレビ族のアロン家です」

女はそう答えた。


「元々は祭司なのですが分家したあのお方達はエクソシストと名乗っています」

「すみません、私はこれで…」

女は足早に去っていった。

目を細めると十人程の集まりで全身黒い服をはおりフードを被っている。
一人は背中に大きな十字架、一人は巨漢である。

「エクソシスト?か。話してみる価値ありだな」
青年は呟き彼らの方へ歩き出した。

町民はアロン家を避けるように皆家々へ戻っている。

近くへ夜と青年は十字架の男へ話しかける。「おい!あんたらはエクソシストって言うのか?」

「なんだ貴様!?人に者を訪ねる時は自分からだろ?」
巨漢の男は青年の胸ぐらを掴んだ。

「そ、そうだな。すまない。俺の名はライス」

「やめろ、ベヒモス、こいつを離してやれ」
十字架を背負った男は青年ライスを掴んでいた巨漢の男ベヒモスに言った。

「悪かったな、ベヒモスは気性があらくてな、お前は俺達に用が?」

「あ、いや、俺は旅してるんだがエクソシストって聞いて興味が…」

「ライスと言ったな?お前みたいな奴にこの仕事は語れんな。去れ。」

十字架の男はライスの隣をするりと去った。
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