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渦巻く滄海 紅き空 【上】
十二 落ちこぼれ
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に来た下忍も助けられた下忍も連帯責任ということで失格になる。たとえ前試合での勝利者でも本戦に出場する権利を剥奪されるのである。

情けない声を上げるチョウジを説得するアスマ。前半は尤もらしい言葉を述べていたが、後半になるにつれ、彼はチョウジの好きな肉の名をつらつらと並べ始めた。
アスマの焼き肉食い放題発言に、シカマル・いのは呆れ果てる。反してチョウジは瞳に炎を燃やし、俄然やる気を出し始めた。

「うおおおおお〜!!やっきっにっく〜!!」
雄叫びを上げながら闘技場中央に向かって行くチョウジ。突然の彼の奇怪な動きに呆気にとられたシカマルといのが慌てて手摺から身を乗り出す。
そして掲示板を視界に入れた途端、彼らはサッと顔を青褪めた。






「勝って焼肉食うぞぉ!!」

闘技場中央にて鼻息荒く宣言したチョウジを、彼の対戦者である多由也は冷やかに見据えた。
興奮している彼の耳には同班の焦った声など届かない。明らかに声援ではなく試合を棄権しろという言葉が聞こえてきて、多由也は尤もな判断だ、と口角を上げた。

「チョウジ〜!!その人、サスケくんと互角だった人よ!!」
「悪いこと言わねえ!止めとけ、チョウジ!!焼肉食う前にお前が食われんぞ!!」
「お、おい。お前ら…」
全力で棄権を促す教え子達にアスマが目を丸くする。だがいの・シカマルの必死の説得もむなしく、ハヤテが試合開始の合図を言い放った。

「え―…では第七回戦『秋道チョウジ』VS『多由也』、始めてください」




開始直後、ハッと鼻で笑いながら多由也はチョウジを挑発した。
「おい、デブ。さっさと掛かって来いよ」
嘲りの言葉内に含まれたひとつの単語。それに過剰反応を示したチョウジは、額に青筋を立て、グッと拳を握り締めた。
「うおぉお、馬鹿にしてぇ!!ポッチャリ系の力、見せてやる――――――!!」
雄叫びを上げたチョウジが印を結ぶ。
すると彼の身体がぼんっと膨れ上がった。肥大したその身に首・手足を引っ込めれば、チョウジの姿は巨大な大玉と化す。

「いっくぞぉ〜!!【肉弾戦車】―――!!」

自身の身体を肥大させる【倍化の術】と併用し、そのまま首・手足を引っ込め回転する木ノ葉流体術。重量と回転を有効に扱いながら敵へと突進する秋道一族の秘伝術である。

巨大球が砂埃を撒き散らしながら多由也目掛けて転がってくる。少しでもその回転に巻き込まれれば骨が砕けるであろう。それほどの威力を秘める巨大な大玉は確実に多由也に向かって迫り来る。
「イケる…ッ!?」
先ほどまで棄権するよう叫んでいたいのが思わず観覧席から身を乗り出す。一方、シカマルは油断なく試合を見据えていた。




轟音が闘技場に響き渡る。朦々と砂塵が巻き上がり、観覧席の者
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