暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
聖者の右腕篇
01.吸血鬼
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ばかりに呆れている。

「いや……そりゃ、あるわな。恨み」

 シャーペンをくるくる回しながら答えたのは、短髪のツンツンに逆立てて、ヘッドフォンを首にかけた男子生徒、名を矢瀬基樹という。

「あんだけ毎日毎日、平然と授業をサボられたらねェ。舐められてるって思うわよね、フツー……おまけに夏休み前のテストも無断欠席だしィ?」

 爪を手入れなどをする華やかな髪型と、校則ギリギリまで飾り立てた制服の少女、藍羽浅葱が笑顔で言う。

「……だから、あれは不可抗力なんだって。いろいろ事情があったんだよ。だいたい今の俺の体質に朝イチのテストはつらいって、あれほど言ってんのにあの担任は……」

 苛ついた口調で古城が言い訳をする。

「体質ってなによ? 古城って花粉症かなんかだっけ?」

 浅葱が不思議そうに訊いてくる。古城が唇を歪める。

「このバカと俺は、夜型なんだよ。朝起きるのが苦手っつうかなんていうか」

「それって体質の問題? 吸血鬼でもあるまいし」

「だよな……はは」

 古城が引き攣った笑顔で言葉を濁す。
 この街に吸血鬼は珍しい存在ではない。

 “吸血鬼”──民話や伝説などに登場する存在で、生命の根源とも言われる血を吸い、栄養源とする蘇った死人または不死の存在。その存在や力には実態が無いとされる。

 はぁー、と内心ため息を洩らす彩斗。緒河彩斗は、暁古城の正体を知っている。
 世界の最強にして第四番目の存在しないはずの吸血鬼──“第四真祖”
 その力を継ぎしものが暁古城。

 彼をかばう彩斗だが、暁古城は、緒河彩斗の真の正体を知っているわけではない。古城が知っているのは、彩斗が吸血鬼ということだけだ。朝に弱く、陽射しに弱いということだけしか知らない。




 “絃神島”──太平洋のど真ん中、東京の南方海上三百三十キロ付近に浮かぶ人工島。ギガフロートと呼ばれる超大型浮体構造物を連結して造られた、完全な人工の都市。総面積は約八十平方キロメートル。総人口は約五十六万人。
 暖流の影響を受け、気候は穏やかで、冬でも平均二十度を超える。
 いわゆる常夏の島。
 学究都市である絃神市は、製薬、精密機械、ハイテク素材産業などの、大企業や有名大学の研究機関がひしめき合っている。
 この島は、少々特殊なところもある。

 魔族特区。
 それがこの絃神市のもう一つの名。
 獣人、精霊、半妖半魔、人工生命体、そして吸血鬼……この島にはそれらの人類によって数を減らした魔族たちの存在が公認され、保護されている。

「──にしても、この暑いのだけは勘弁してくんねぇかな、くそっ」

「全くその通りだな」

 パーカーのフードを目深に被って、陽射しを遮る古城。それに対して何
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