第八十五話 我劣らじと
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「まずいな……押されている」
セイバーに乗り、ミネルバと共に戦闘を開始したアスランは不利な現状に嘆いていた。アスランとマーレの二人を中心にして戦線に穴を空けながら突破を図ろうとしているのだが、数や戦略によって押し切られているのだ。元々策もなしに要塞攻略を成そうとなれば敵の三倍の戦力が必要となると言われている。そして戦争である以上、どれほど個人の実力が計り知れないものであっても戦局を決定づけるのは数だ。
「マーレ、あの艦を落とすぞ!」
『チッ、突破口になりそうなのはその位しかねえか――――』
だが、戦局を決定づけるのが数であっても、戦局の流れを持って行くのは質だ。いくら数があっても、目の前で味方が討たれれば士気は下がる。逆に敵の首級を討ち取れば味方の士気は上がる。例えるなら複数人で行うスポーツに似ている。野球もサッカーもバスケも、一人で出来るものはないが、流れを作り出すのは一人のプレーによるものであることなどざらにある。
アスランとマーレはその流れを得るために敵の新設されたのであろう朱い旗艦クラスの艦に狙いを定めた。
「グッ、落ちろ!」
先陣を切っているアスランとマーレには当然向かってくる敵も多い。ザクやグフ、ゲルググといった量産機が大量に迫って来る。アスランはそれを右手に持っているビームライフルで撃ち抜きつつ、敵の攻撃をシールドで防ぐ。だが、一つしかないビームライフルの攻撃に当然突破してくる者もおり、一機のグフがアスランのセイバーに向かってビームソードを振り抜いた。
「ハァッ!」
アスランはその攻撃に対して焦ることなくセイバーのシールドで受け止め、それどころかシールドを持っているセイバーの左手で隠すように持っていたビームサーベルで向かってきたグフを横薙ぎに切り裂く。
「マーレッ!」
『ッ、分かっている!!』
MSをアスランが出来る限り派手に撃墜することで敵の気を少しでも多く引きつける。その間隙を狙い、マーレは一気に加速することで敵艦に接近した。咄嗟の行動に敵部隊もしまったと言わんばかりの驚愕を露わにし、機体によっては動きを止めるものまで出てくる。当然、不利な戦力差があることを理解しているアスランはそういった機体を優先的に狙ってビームライフルで撃ち貫いた。
『ガンガン新型やら新兵器やらが出やがって!いい加減、艦の種類位落ち着けろや!』
朱い新型艦――――ラー・カイラムと同じような役割を求められて建造されたレウルーラの懐に入り込んだマーレは次々と機関砲の銃座や副砲を撃ち抜いていく。流れるように艦のギリギリの所を滑りながら移動していって砲塔を破壊していくので、敵のMSも艦への誤射を気にして撃つことが出来ず、艦の方の砲塔もそこまで近いと狙いなど当然定めることが出来ない。
『近づいて
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