暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【上】
六 胡蝶の夢
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に本気で気配を消されたら全く気づけないじゃないですか」
少々批難の声を上げながら振り向いた白の眼前には、何時の間にかナルトが静かに佇んでいた。
「いや…ちょっと厄介な奴に会ってな…」
白の言葉に、ナルトは珍しく言葉を濁す。彼が気配を消していた理由はつい先ほどまである人物に追い駆けられていたからである。


木の枝から落ち掛けていた赤髪の少女をナルトは助けた。
おそらく巻物を手に入れようとして白か再不斬のどちらかが彼女を昏睡させたのだろう。けれどどうやら彼女の同班の二人は既に巻物を開いてしまったらしく何れも意識を失っているようだ。
規則に反し巻物の中身を見てしまった受験者は、巻物に書かれた口寄せの術式により現れた中忍によって気絶させられる仕組みになっている。
故に白もしくは再不斬は、開けられてしまった巻物を手に入れる事を諦め、少女を木の枝上に置いたまま去ったのではないかとナルトは推測した。
そこでナルトは、第二試験終了時刻まで気絶させられた彼らの傍にいても意味がないだろうと、彼女を『死の森』の入り口付近まで送り届けようとした。
すると気絶するふりをしていた少女がいきなり目を覚まし、ナルトに詰め寄ってきたのである。自分を香燐と名乗り、名前を教えろだのどこに住んでるのかだのと突然聞いてきた彼女にナルトはたじろいだ。
なぜ急にそんな事を聞いてくるのかナルトには解らない。だがあまりにもしつこかったので名前だけ思わず教えてしまった。
それでも勢いよく質問してくる彼女の意図が読めず、逃走を図るナルト。しかしながら感知タイプなのか、通常の者ならば読み取れないナルトの希薄な気配を少女は確実に把握して追い駆けてきた。
そのためやむを得ず、こうして気配を消して振り切って来たのだ。



(なんだったんだ、一体……)
はあと内心溜息をついたナルトは、気持ちを入れ替えるように頭を振った。
「それで巻物は?」
「ああ。これだ」
その言葉に、再不斬が束にした『地の書』を投げて寄越した。同様に白も『天の書』をナルトに手渡す。
「悪いな」
ナルトは受け取った巻物の内から必要な分だけをするりと懐に納めた。
「それでこれからどうする?」
「…二人には木ノ葉の里の宿で待機しておいてほしい。この中忍試験には大蛇丸も参加しているんだ」
「な!?まさか三忍の一人…」
「そう、大蛇丸。あいつにはお前達の存在を知られたくないんだ。だから宿でも接触を避けるためになるべく変化しといてくれ。木ノ葉には前に再不斬が闘った畑カカシもいるからな…」
「カカシか…。もう一度勝負してえが…仕方ねえな」
次は負けねえと意気込む再不斬の様子に白は苦笑する。そして彼はナルトに一礼した。
「承知しました。もし何かお手伝い出来る事があればご連絡ください」

その言葉を
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ