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樹界の王
13話
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「亡蟲って、一体なんなんですか」
 ラウネシアの樹体をゆっくりと眺めながら、亡蟲について尋ねる。
 樹体ごしにラウネシアの思考が響いた。
『敵、としか答えられません。彼らの目的は生存圏の拡大です。彼らの繁殖力は恐るべきもので、常に生存圏の拡大を図って軍事的行動に走っているのだと解釈しています』
「どれくらいの頻度で侵略を繰り返すんですか? またすぐに来る可能性もありますか?」
 しゃがみこみ、ラウネシアの根本に穴を掘りながら会話を続ける。
 穴を掘った先に見える太い根は、僅かに明るい赤褐色をしている。傷つけないように優しく撫でて、その状態を確認する。
 良い土だ。中に十分な酸素が取り込まれている。水はけも良く、柔らかい。ラウネシアの根は健康な状態を保っている。
『大体、十日と少しほどの間隔があります。三十日前に寄生植物の投下が行われ、十三日前に中規模の地上侵攻がありました。その時はまだ私に体力があった為に迎撃に成功したのですが、今回は寄生植物の成長具合を偵察しにきたようですね』
 三十日前。随分と、シメコロシ植物の成長速度が早い。攻撃用の兵器として改良されたものなのだろうか。
 ボクは根を観察を止めて、もう一度樹体を眺めた。縦割れや横割れが少ない。風の影響が少なく、長期に渡って栄養を失うような状態ではなかった、ということ。シメコロシ植物、寄生植物が投下されたのが一ヶ月前というのは間違いない。そして、それ以前にラウネシアが危機に陥った形跡は認められない。ラウネシアと亡蟲の紛争は、ラウネシアに致命的なダメージを与えるに至っていない。ラウネシアの保有する防衛能力は、亡蟲の攻勢能力を上回っていると推測できる。
「樹皮が綺麗です。コケが見られない。これだけ巨大な樹体を持っているのに、活力を失っていないようです」
『時間さえあれば、まだまだ成長できます。原型種としての私は、まだ若い部類に入りますから』
 ラウネシアが満更でもなさそうに言う。ボクはラウネシアの巨大な樹冠を見上げ、目を凝らした。
「原型種、というのは何ですか」
『私のような種族の事です。原型種が中心となり、森を治めます。この森のコントロール権は私が有しており、全てが私の支配下にあります』
「……この樹界の女王、というわけですね。環境をある程度自分でコントロールできるから長生きできる、ということですか」
『ええ。それに私達原型種は待つ種族です。悠久の時を防衛に費やし、そして待ち続けます』
 ラウネシアの樹冠に実る果実が、増えている気がした。膨大な数の果実が、空を覆い尽くしている。
「待つ? 何をですか?」
『人を、待っているんです。貴方のように、時折迷い込む人を待っているんです。私はこの地に根を巡らせて以来、亡蟲と闘いながらずっと
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