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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-10
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と、不快感をなくそうとシャワーを浴びようとも考えたが、それすらも躊躇い、隠そうともせずに一度部屋に戻り、着替えを取り出してすぐに身に着けると制服を着る。


鍵を持って部屋から出て、鍵を閉めるとすぐに駆け出していく。
楯無にとって蓮の居場所を探すことは容易ではない。ただでさえ広い学園の敷地内、どこにいるかなんて分かる筈もなかったが、今回だけは、なんとなく分かった。
寮を音を立てないように走り、階段を駆け上って屋上に出る。――――いた。


まだ朝日は出ていなかったが、水平線の彼方から段々と明るくなっている。いずれここいら一帯も朝日に照らされ始める。
そんなまだ頭を出さない朝日の見つめるようにベンチに座る一人の青年。御袰衣蓮は、楯無に気付くと立ち上がって楯無の方を向いた。
蓮の姿を見た楯無は、自分の感情を抑えきれなくなって蓮に向かって駆け出して、抱き着いた。


「……どうした、楯無」
「……ダメ、楯無って呼ばないで。…………刀奈って、昔みたいに刀奈って呼んで」


そう抱き着いた状態から蓮の顔を見上げて、若干涙目であったが、それすらも気づかずに願う。
蓮に長としての名前でなく、一人の女の子の名前を呼ばせる。今だけは、更識家当主としてではなく、一人の女の子として見てほしかったのだ。


「……刀奈」


彼女の名前を読んだ蓮は、驚きこそしたが、楯無――――刀奈に手をまわして抱きしめる。そして、慰めるように頭をポンポンと撫で始めた。
刀奈は、声を殺して泣く。蓮は、その嗚咽だけが聞こえていた。


夜明け――――。
朝日が抱き合う二人を照らし始めた――――。







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