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【IS】例えばこんな生活は。
例えばこんな裏方の仕事にもやりがいはある
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「・・・・・・」
「?どうしたウツホ」

学園祭の出し物であるメイド喫茶で接客をしていたウツホの動きが止まった事に、私ことラウラは眉を顰めた。お目付け役も兼ねて一緒に行動させられている私としては理由を聞かねばなるまい。

「やな匂い、する」
「・・・?」

ウツホはそう言っているが、アドヴァンスドとして強化されたラウラの嗅覚では周囲の臭いに異常など感じ取れない。だが彼女は人の姿はしているが中身はISだ。人に感じ取れない微細な異常を検知したのかもしれないと思い返す。

「何の臭いだ?」
「不愉快な匂い。油の臭い。洗っても洗っても消えない血の臭い。・・・あいつだ、あの厚化粧のおばさん」
(・・・福音事件で暗躍していた亡国機業(ファントムタスク)の尖兵?)

その考えに到るとほぼ同時に、ウツホはお盆をテーブルの放り出してつかつかと移動を始める。ラウラは慌てて周囲に「少し抜ける」と伝えて彼女を追いかけた。同時に暗部に秘匿回線で通信も送った。
間違いなく、ウツホは自力で障害を排除するつもりだ。



 = = =



それはゴエモン君とリューガ君が試合を開始する前に空いた数時間だけの休憩時間。私はこの学園祭の時期が訪れる度に、いつも同じ人の事を思い出す。

小村順子(こむらじゅんこ)。私より1つ上の学年にいたIS学園時代の先輩だった。
常に明るくて後輩にも人当たりが良く、いつも良く分からないジョークを飛ばしては私をからかっていたのを今でも思い出す。
ISの操縦技術はかなりのもので、次期日本国家代表候補でもあった。同じ候補生でもてんで腕前が無かった私に先輩は次々に技術を教え込んでくれ、それを私がマスターする度に自分の事のように喜んでくれた。一緒にカラオケにいったり逆ナンにつき合わされたりもしたが、その底抜けの明るさが私は好きだった。

そんな小村センパイとの関係に陰りが見えたのは、夏休み中に行なわれた第1次国家代表選抜でのこと。私はそこで小村センパイと代表の座をかけて戦うことになった。

当時の私は「あのセンパイに勝てるわけがない」というプレッシャーと「小村センパイが何のために訓練を付けてくれたと思っている」という相反する感情の板挟みになっていた。それでも私は『銃を握った時だけターミネーターになれ』という教えを守って戦いを挑んだ。

私は、小村センパイに勝った。

センパイは「流石は私が見込んだだけのことはあるな・・・さあ!私の屍を超えて行けー!!」などといつもの調子で笑っていたが、先輩がその時本心では何を思っていたのか、今では知る由もない。

噂は沢山あった。「山田に才能で抜かれているから邪魔をしようとしている」だの、「自分の夢と技を山田に託した」だの、その種類は実に様々。女と言う生き物は本当
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