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この夏君と・・・・・・
第一章
at NIGHT 2nd

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「――おいおいおいおい! なんだってんだよこれ!」

 そこはいつもの校庭ではなかった。
 木々は倒され、地面は無残にえぐれ、校舎の窓ガラスはほぼすべて割れている。
 そして異常はそれだけではなかった。校庭の真ん中には数人の人影があった。そのうちの一人はなんと転入生の夏目だった。
 見ただけで気づくことは、夏目とそのほか、で分かれているということ。つまり夏目vsその他、の形でのバトルらしきことなんだろう。それと、みんななんらかの武器を持っている。例えば夏目は細身の剣を携えている。レイピアってやつだろう。
 目で見えることだけではない。空気だ。張り詰めている。触れれば切る抜き身の太刀のような雰囲気をまとった空気に、俺は少なからず圧倒されている。しかし、それが楽しくもあった。
 さて、何をやっているのか見物させてもらいましょうか。

 ――そしてそれは唐突に始まった。いや、俺が学校に到着したときにはすでに滅茶苦茶になっていたから、再開した、が正しいのか。
 夏目が敵(?)に向かって疾走する。

「まじかよ……」

 夏目は影分身をしていた。今正確に人数を把握したが、夏目は三人の男を相手にしているようだ。その三人に向かって三人の夏目が疾走しているのだ。何か、ショーでも見せられているのだろうか。
 夏目は剣を何度も打ち合っている。一見夏目が押しているように見えるのだが決め手を欠いているようだ。最後の一撃というやつが決まらない。

「あ――――やばいんじゃないのか!?」

夏目が敵の一人の大剣の攻撃をもろに腹に食らったのだ。

「あ、がっ……」

 夏目が女の子らしくない声を漏らす。そりゃそうだ。腹からドクドクと血が流れてしまっている。見ているこっちが痛くなってきた。
 そして今気付いたのだが……これってガチな緊急事態なの? それなら男が女の子を見てるだけで助けてやらないのは間違っているんじゃないのか? でもどうやって助けるって言うんだ! 少しこの闘いを見ていたら分かる。こいつらの闘いは普通の人間のレベルを遥かに超越している、俺なんかとは次元の違うことをしている。
 だったらどうにもできないってのか……、なんにもせずに爪でも噛んでろってのか!?

「……そんなことできるわけないだろ」

 停滞するっていうのか!?

「……そんなの駄目だろうが!」

 なんのために夜遅くまで起きてこんなことやってるんだ?

「……そうだよ、こういうのを待ってたんじゃないか」

 だったら俺がすべきことはなんなんだ?
 もう分かってるじゃないか。そうさ、俺がやるべきことは――

「夏目――――っ!!」

 そうだよ、こういうことじゃないか――――。
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