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偽典 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第7章 終わりの始まり
第陸話 勇者の帰還
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大魔王ゾーマが、倒れた姿のまま俺に話しかけた。
「アーベルよ、よくぞわしを倒した」
だが、その表情に悔しさは少しも現れていない。

まさか、何か隠し玉でも持っているのか!
念のため、祈りの指輪を強く念じて、魔力を回復する。

「だが、光ある限り、闇も、また、ある・・・・・・」
俺の予想に反して、ゾーマは俺の知っている台詞を続けた。
これは、予想可能な範囲の行動である。

「わしには、見えるのだ。
ふたたび何者かが、闇から現れよう・・・・・・」
俺には見えないが、知っています。
「だが、そのときはおまえは年老いていきてはいまい。
わははは・・・・・・っ。ぐふっ!」
そうだな。
確かに生きてはいないが、勇者ロトの子孫がなんとかしてくれるのじゃないかな。

ゾーマは自分の最後の言葉と一緒に、全身が炎につつまれる。

「!」
「アーベル!」
セレンはその異様な状況に驚き、タンタルは視線を俺に向けて注意を促す。
ゾーマを燃やし尽くした炎は、周囲に飛び火している。
それに合わせるかのように、城が揺れ、天井から岩が落ちてくる。
おそらく、大魔王ゾーマが滅んだことで、その闇の力で産み出された城が維持できなくなったのだろう。

「さあ、帰るぞ」
俺は、無駄になると思いながらも、帰還呪文リレミトを唱えた。
だが、いや予想どおり、呪文の効果は現れなかった。

「呪文は使用できないのなら、歩いて帰るか。
頭上からの落下物には気をつけて」
俺は、全員に頭上への注意を喚起させる。
ルーラで洞窟の天井に頭をぶつけても、HPが減少しないことを考えると、身体的には問題ないと思われる。
だが、これからのことを考えると、念のために頭上に意識を向けた方が良いだろう。

揺れ続ける広間の中で、俺たちは慎重に歩いてゆく。
「!」
「床が!」
頑丈そうな床が、突如崩れ、暗闇に飲み込まれてゆく。
俺は、反射的にトベルーラを唱えて回避しようとしたが、我慢して落ちることに身をまかせた。



「・・・っ。ここは?」
俺が目覚めると、洞窟の床で横たわっていることを確認した。
「悪魔の爪か」
俺は、そばの床にある亀裂をながめながらつぶやいた。

ラダトームの住民の話では、すべてのものを拒むといわれ、ゲームでは一度落ちたらその場に戻されるという事だった。
ひょっとしたら、そこに本当の闇の力の根元が存在するのかもしれない。
それを破壊しない限り、このアレフガルドに平和は訪れないかもしれない。
とはいえ、進入出来ない以上どうにもできない。
それに、今の俺には急いでラダトームに行く必要があった。


そう、ここはラダドーム北の洞窟だったな。
たしか、魔法が封じられ、帰還呪文であるリレミトが使用できなかった
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