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誰が為に球は飛ぶ
青い春
拾伍 バカになれ
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いた。
日向は目を丸くしている他のナインに叫ぶ。

「お前らァ!加持先生が、今、自分からノックバットを握ったんだぞォ!?こんな事が今まであったかァ!?これまでは頼まれないと、練習を手伝いはしなかった!それが今、自分から来たんだ!俺たちの思いがこの人にも伝わったんだ!!ずっと冷めてた加持先生も、俺たちを見て熱くなっちまったんだ!俺たちがそこで冷めちまって、どうすんだぁ!」

全力で怒鳴り続ける日向の姿に、他の面々は言葉を失う。

「来いよ加持先生!俺たちと勝負だぁ!どっちかが倒れるまでやってやらぁ!」

啖呵を切って、レフトのポジションで構える日向。

「…うぉらぁあーー!来いやワレェー!何でも捕ったるわ、ドアホーッ!!」

つられて声を上げたのは、ライトの藤次。

「こーぜこーぜ!」
「ハイ、最初はどこに来るどこに来る?」
「ショート静かだなぁ帰ったのかァ!?」

少しずつ、だんだんと、グランドに声が満ちていく。煽られたショートの青葉も、半ばヤケクソで声を上げていた。

「みんな…」

自分もびっしょりと濡れ、顔に泥をくっつけている光は、その光景に、胸のあたりにジーンとくる感覚を覚えた。
一週間の合宿で疲れきっているはずなのに、それでもなお、湧き出てくる力というのが、目の前の選手達にはある。

「…俺の本気のノックは高くつくぞォ。今回は特別サービスだ!」

加持が、薄暗い空へ、高々と、泥に塗れたボールを打ち上げた。


























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