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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第四十一話
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溜め息を吐いた。交渉は後一歩のところだったのだ。悔しがるのは仕方ない。
 二人が話している間にも時間は刻一刻と過ぎていく。やがてはカーゼル侯爵とシェリーの二人が翡翠宮前で押さえられた。

「中尉ッ!!」
「動くな、まだ隊長から指示は出ていない」

 急造の陣地で九九式軽機関銃を構えた水野を樹が押さえる。
 そうしている間にも地面の雑草にしがみついていたシェリーの脚は大地から離れて掴んでいた雑草の千切れる音と共に高々と担ぎ上げられた。

「嫌ッ!! スガワラ様、助けてッ!!」
「中尉ッ!!」
「……我慢だ」

 樹がそう言った時、翡翠宮から一人の男が走ってきた。菅原である。
 菅原はシェリーの元へ走り、委員に叫ぶ。

「その子は十六歳になるのを待って俺の妻にしようと思っている。そういう関係だッ!! だからその子を連れて行くなッ!! 此方に寄越せッ!!」
「よっしゃ、許可が出たぜ。中へ入れて良しッ!!」

 ヴィフィータがそう叫んだ。それを見ていた樹達は菅原の元へ走る。

「下がって下さい菅原さん」

 樹はベ式機関短銃の薬室に弾丸を装填する。その間にもヴィフィータが掃除夫を斬り捨てる。

「き、貴様ら、反逆するつもりか? そこの奴等も我等に刃向かうつもりなのか?」
「馬鹿にすんなよ。俺達の行動は外交協定に基づく警備行動で完全に合法なんだぜ。何者であろうともこの境界を越えるにはニホン帝国政府の了承が必要となる旨、皇帝陛下の勅令をもって定められているからな。てめぇらはニホン帝国政府より立ち入り許可を得ているのか?」
「罪人を捕らえるのにそんな物が必要かッ!?」

 樹は咄嗟に後方の翡翠宮を振り返った。翡翠宮の窓から青旗が振られて発光信号が送られた。

「野郎共ッ!! 花嫁を守れッ!!抜刀ッ!!」

 騎士団達は剣を抜き抜刀した。

「我々日本帝国は帝国の行動を傍観する事は出来ない。亡命者を、騎士団を、日本帝国を守るために帝国に対し自衛の戦闘を開始するッ!!」

 樹は発光信号を読み上げてそう宣言した。これは勿論、口実であり大義名分のためである。
 文面を作成した吉田は溜め息を吐きながらも対峙する帝権擁護委員部を見つめた。

「目の前で人が殺されるのをムザムザ見て黙っているわけではない」

 吉田はそう呟き、翡翠宮の門に銃撃音が鳴り響いた。





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