暁 〜小説投稿サイト〜
戦場のメリー=クリスマス
第五章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「あんなものを毎日食ってるんだぞ」
「あのマーマイトとビスケットですね」
「それとアメリカで出したら一日で店が潰れるレベルのオートミールな」
 缶に入っているのだ、オートミールも。
「それとぱさぱさのパンしかないんだぞ」
「あれはないですね」
「あれと比べたらずっとましだろ」
「はい、スパムも」
「それに俺達は確かにスパムがやたら多いがな」
 それでもだというのだ。
「他にも一杯あるからな」
「ステーキもアイスもありますしね」
「パンケーキもな」
 とにかく食うものには困っていない、アメリカ軍は。
「だからスパムにも我慢するしかない」
「そうなりますね」
「スパムに飽きたらイギリス軍を思い出せ」
 軍曹はオズバーンだけでなくジョーンズとリックにも言った。
「あんなまずいものしかない連中より俺達はずっとましだ」
「はい、わかりました」
「俺達はイギリス軍よりましです」
「それも遥かに」
 三人もこれで納得した、そんなことを話しながら食事を摂ってだった。そのうえでまたトラックに乗り込み目的地に向かうのだった。
 目的地まで着いたのは夜だった、目の前には野営地がある。ジョーンズはその野営地に翻っている旗を見て言った。
「何だよ、ユニオンジャックかよ」
「ああ、そうだな」
「イギリス軍だな」
 オズバーンとリックもジョーンズの言葉に応える。
「俺達の輸送先はイギリス軍だったか」
「アメリカ軍じゃなかったんだな」
「というと俺達はマーマイトを輸送してきたのか」
「そうなるのか?」
「ああ、輸送したのは食いものと飲みものだがな」
 軍曹がここで話す。
「マーマイトじゃないのは確かだ」
「アメリカ軍にはないですしね」
「だからですね」
「あんなものアメリカ人が食うか」
 軍曹はマーマイトをまるで悪魔の食事の様に言い捨てた。
「食えたものじゃない」
「そうですね、確かに」
「マーマイトはないですね」
「あれだけは」
「ああ、ただこれは元々予定に入っていたが」
 軍曹はマーマイトから別の話をした、その話はというと。
「俺達は今日はこの野営地で泊まる」
「それで明日の朝ですね」
「その時にここを発つんですね」
「そうなる、朝にはガソリンの補給も受けてな」
 トラックのそれのだ。
「そうしてだ」
「それからですね」
「基地に戻るんですね」
「そうなっている、まあイギリス軍の飯には期待するな」
 休憩時間の時に話した通りにだというのだ、このことについては。
「どれだけまずくてもな」
「そこは我慢してですね」
「腹の中に入れろってことですね」
「クリスマスだろうが何だろうがイギリス軍はイギリス軍だ」
 食事は期待出来ないというのだ。
「世界を股にかけてても食いものを
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ