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第三章
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第三章

「そんなの高くて手が出せるか」
「じゃあどういうダイアなんだよ」
「あれだよ。人造ダイアだよ」
 今じゃすっかりそちらがメインになってる。ダイアっていえば人造のそれだ。ただの炭素の塊のダイアはだ。意外と簡単に造られるからだ。
 それでだった。それを売るって話だった。
「南アフリカのってことにしてな」
「それを売ってだな」
「金巻き上げようぜ。どうだ?」
「そうだな」
 この時も何となくだった。俺は話に乗った。女房もだ。
 そうしてじっさいに年寄りから金を巻き上げる。するとだった。
 面白い位に金が手に入った。一応本物のダイアなんで誰も疑わない。それでだ。俺達はあっという間に大金持ちになった。
 その大金を手に入れてだ。俺と女房は話し合った。
「なあ、詐欺師ってな」
「そうよね。やってみたら」
「いいよな」
 こうだ。二人で話した。今まで飲んだことのない位高い酒を飲みながら。高いだけあってだ。その酒はとんでもない美味さだった。
 その美味い酒を飲みながら。俺達はまた話した。
「こんな簡単に儲かるなんてな」
「それでお金があったら」
「こんな酒が飲めてな」
 その今まで飲んだことのない最高の酒をだ。
「それにこんな凄い家に住めてな」
「医者やるよりずっといいわね」
「しかも手術でミスする心配もしなくていいしな」
「人なんて簡単に騙せるし」
「いいじゃないか」
「そうよね」
 二人でだ。こう話し合った。
「このままな。詐欺師やるか?」
「続ける?この仕事」
「人をちょっと騙しただけでこれだけ儲かっていい暮らしができるんだぞ」
 俺達はもう良心が麻痺していた。今思えばだ。あいつを殺して証拠を完全に消して成りすましたその時にだ。俺達はそうなっていた。
 それでだった。俺達はすぐに決めた。簡単にだ。
「それじゃあもう選択肢ないだろ」
「詐欺師やるのね」
「ああ。あいつがそのままやってたみたいな」
「やっていきましょう」
 こうしてだった。俺達は本物の詐欺師になった。あいつと同じく。
 それでまさに濡れ手に粟で金を手に入れてだ。俺達は幸せに過ごした。けれどだ。
 ふとだ。俺はこんなことを思った。それを女房に言った。
「なあ、俺達ってな」
「どうしたの?」
 今度はアメリカでも限られた金持ち、それこそビル=ゲイツが入るようなレストランの個室の中で最高のディナーを食べながらだ。女房に言った。
 ビロードの絨毯に紅のシルクのカーテン、それに白い壁。そんな上品な部屋の中でだ。最悪の犯罪者の俺達が話をしていた。
「俺達だよな」
「何言ってるのよ、一体」
「あいつになってるような気がするんだよ」
 女房に言ったのはこのことだった。
「俺達が殺したあいつにな」
「あんたが
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