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乱世の確率事象改変
黒麒麟動く
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 大きな黒馬に跨り戦場にて攻城戦を見やるその男は考察を繰り返す。
 気付けたのは偶然で、それは一人の少女が戦っていたからだった。
 ゆるいウェーブのかかった赤い髪を揺らしながら兵に指揮する彼女のシ水関での言葉が、男の甘えた思考に一つの波紋をもたらした。
 その波紋を観察し、行く先と起こった地点を見つめ……己が考えを投げ込んで新たな波紋を作る。
 自分の軍の掲げるモノと今回行うべき事を秤に乗せて最良の選択肢を考え、一人納得する。
 男は他の者に思考の全てを語らない。
 信頼されていない故に……ではなく信頼されているからこそ。
 自分から動くのは事が起きてからではあまりに遅いと気付いてしまった。
 故に彼は決意する。
 自分を仲間と呼んでくれる者達の想いを確かめる事を。
 そして彼が今回張るのは予防線と責任の糸。彼女が耐えられるように、と。
 先を知るその男は真実を語らない。
 世の全てを騙すペテン師はただ一人きりでその罪を背負い続ける。


 †


 董卓軍が決戦の初めの相手に選んだのは袁紹軍みたいだ。
 私は開幕で曹操軍と当たるかと予想していたが違ったらしい。
「袁紹軍の時に出るのか……俺達の軍か連続で出ている孫策軍かとも思っていたんだが」
 隣で呟く彼の声も驚き。私は少し戦に思考がとらわれ過ぎている秋斗さんの隊と共にいることになった。朱里ちゃん曰く、秋斗さんは私といる時が一番落ち着いているように見えるかららしい。
「意外ですね。私はてっきり精強な曹操軍を挫きにくるか、私達の時に来るかと思ったのですが……」
 総大将の軍を攻撃して士気を挫きたい、と言う事だろうか。総大将自体が最後方にいるためそれでは甘い。
 今日の劉備軍の配置は中軍後方。追撃の為に左右を馬超軍、公孫賛軍と固められている。
 最後方は袁術軍と袁紹軍本陣。私達の前方左右には真ん中に間を開けて曹操軍と孫策軍。
 連合は決戦が近いとあって昨日から軍の全てを洛陽前に配置していた。相手への威圧による攻城戦での士気低下も考えて。
 これだけの軍が連合にはいると見せつければ、きつい攻城戦はまだまだ続くんだという思考に陥らせ相手の軍の心を焦燥に駆る事が出来るとの予想だった。
「相手の士気の問題だろうな。曹操軍は士気高く軍全体の対応が上手いし虎牢関での被害も少なかったから出鼻では狙えない。俺達を狙わなかったのは不確定要素が多いからか。華雄を討ち取られ、三体一だとしても呂布が止められた。それによって兵にも軍師にも不安が出てるんだろう」
 秋斗さんから語られたモノは的確な意見だが綺麗すぎると思う。
「董卓軍は苦肉の判断で勝つ為に出てきたのですから無理をしてでも曹操軍を挫くか私達の軍を攻略する事で士気を上げておくべきでした。私が董卓軍の軍師ならそうしてまし
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