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誰が為に球は飛ぶ
青い春
玖 塩のときめき
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いる。

野球部の面々は文化祭直前の準備も、部活を理由にすっぽかし続けていた。その結果がコレである。模擬店のシフトが野球部の5人で埋め尽くされ、真司と薫に至っては、女装してウェイトレスする事まで勝手に決められていた。欠席裁判というヤツである。こうされても文句が言えないくらい、何もしなかったのは事実ではあるのだが。


「碇くーん!写真撮ろうよー!」
「あ、はい」


飲み物食べ物を席に運んで一休みする間もなく、今度は写真をせがまれる。1-Cの模擬店は薫と真司、この2人のウェイトレスのおかげで盛況だった。2人とも中性的な顔立ちで女装が似合うというのもあるだろう。薫はそもそも美形で、真司は地味な顔の分化粧がよく映える。


(まだ終わらないのかなぁ)


真司は、文化祭が始まった当初からキッチンの方をチラチラと見て、品切れに伴う閉店を待ち焦がれる。


(ホント、時給が発生しても良いんじゃないかなぁ)


キッチンの裏では、またチキンライスを焦がした藤次に、光の怒りの鉄拳制裁が飛んでいた。
店内の客はその様子をクスクスと笑う。
真司はため息をついた。



ーーーーーーーーーーーーー


真司が模擬店のシフトから解放されたのは、文化祭も終わりに近づいた頃だった。もうそこら中の模擬店や出し物を一通り回り終えた1-Cのクラスメイト達が、する事が無くなって店に帰って来た。よって、最後の最後、僅かな時間だけ解放である。藤次と健介は買っていた前売り券を消化するため、他のクラスの模擬店へとダッシュする。
薫は店内でやる事が無くなったというのに、女装のままで客引きを始めた。どうやらいたくこの格好が気に入ったらしい。光は、今更する事なくなるのもアレだし、と言って結局調理を手伝い続けている。


真司は1人になった。この少年、他のクラスに友達も殆ど居なければ、前売り券などというものはただの一つも手に入れていない。
出し物にしても、他所のクラスが何をするのかさえ、全く知らない。


そんな真司が時間を潰せる場所といえば、ステージ発表をやっている講堂くらいしか無かった。


ーーーーーーーーーーーーーー

間に合わなかった。
真司はそう思った。

体育館では、真司のかつての先輩後輩達…音楽部の面々が演奏を披露していたが、真司が到着した頃には客に一礼して引き上げる所だった。
彼ら彼女らは、自分が野球部に鞍替えする時も、それだけに残念がってくれた。自分にとっては数少ない、義理立てすべき人々だったのだが。
仕方ないので席につき、そのままステージを眺め続けた。音楽部の次は、吹奏楽部の演奏だった。


吹奏楽部は、高等部中等部合わせて40人は部員が居る。ネルフ学園の中では、かなり早い段階から部
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