会戦の幕開け
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こそは手際の悪かった技術も、今では話しながら作業をしている。
「今回、捕虜を手に入れたのも、そして敵の基地を発見したのも全ては我々の成果です」
「ああ。そうだろう、それはクラナフ大佐も認めているさ」
「では、なぜ我々が敵基地の攻撃を任されないのですか」
「マクワイルド少尉から説明は受けただろう。我々は基地の防衛が任務だと」
「敵の基地を攻撃中に? これ以上戦果をあげさせないようにしているとしか考えられませんよ」
「お前は本当に単純な男だなぁ」
かかと笑いながら、カッセルは作り上げた縄を丁寧に編み込んでいく。
確かにクラナフ大佐の行動は速かった。
任務が終了し、敵の捕虜から基地の場所を聞けば、先行に哨戒部隊を繰り出し、続いて敵基地を三個中隊で奇襲する。
攻略隊はメルトラン中佐が指揮を行い、アレス達特務小隊は留守役だった。
それがバセットには不満であるようだ。
口を尖らせる様子をなだめて、カッセルは籠を作り上げた。
「出来たぞ」
「ただの籠ですね」
「ああ。ただの籠さ、だがこいつも上手く使えば立派な武器になる」
「石でも入れるますか?」
「惜しいな。入れるのはプラズマ手榴弾さ。敵の通り道にこいつを吊るしておいて、敵が足もとのロープを切れば」
籠が傾いて、プラズマ手榴弾が落下する。手榴弾の安全栓は籠の隙間に固定しておけば、転がるのは起動したプラズマ手榴弾。
ひゅっとカッセルが手を広げた。
「そりゃ便利でしょうが、この星でどうやって使うのです」
例えば、密林などがあれば話は別だろう。
だが、このカプチェランカの特徴は見渡す限りの平原だ。
ブリザードの吹き荒れる星では吊るす木もなければ、ロープを張る場所もない。
「お前は本当に単純な男だな」
「何度も単純といわないでください。馬鹿といわれている気がします」
「いいか。こんなところに上からの罠があるわけがない、そう思っているからこそ罠が成功するんだ。最初から頭上に注意なんて書いてくれている罠があるわけないだろう? いいか、使う時は、だ」
そう言って、ゲリラ戦について説明しながら、カッセルは苦笑した。
カッセルがバセットに陸上戦術を教えるようになって、一カ月が経った。
単純な男ではあるが、飲み込みは早い。
元々が真面目な性格であるし、手先も器用だ。
覚えも決して悪いわけではない。
これで馬鹿じゃなければなぁ。
カッセルは小さく笑い、スキットルを取り出した。
一口飲めばウイスキーの熱さが胃に染みわたる。
「て、何飲んでいるのですか」
「ウィスキーじゃよ。いつ死ぬか分らぬのなら、後悔はして死にたくはないだろう」
「居残り組が何をいってんですか。ほら、さっさと相手をひっかける罠の設
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