暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
命の盾
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を巻き込むかのような音が響く。

魔法の轟音。

水晶の砕ける爆音。

迫り来る、丸い夜空。







そして、丸い夜空は爆発を起こした。







衝撃音。
衝撃波。

「エルザーーーーーーーーー!!!!」

ナツの叫び声が響く。
断末魔に似た、全てに轟く竜の咆哮。
その隣に立つティアは無表情の面影すらも消し去り、両手で口元を覆った。
信じられないものを映すかのように、その群青色(ラピスラズリ)の瞳は揺れ、見開かれている。








永遠の一瞬。







その言葉が何よりも似合う、静寂。








―――――今宵の空に、星は存在しなかった。







その存在を、闇の中へと隠していた。










ただ、ただ孤独な月が、光輝いて。








今宵の空と同じように、煙幕を思わせる煙が、塔の最上階を包み込む。







そこには誰が―――。







上空に存在し、今はその姿を見せない星にも太陽にも、姿ある月にも解らないだろう。







立つのは誰か。倒れるのは誰か。そして―――この偽りの楽園の、思い交差する戦いの勝者は。







妖精か、亡霊か。その様子は覗えない。






そして、ゆっくりと―――――――その煙は、晴れていく。











「・・・え?」

閃光と女王――――2つの異名をとる少女の声が、静寂を小さく貫いた。











丸い夜空は、直撃していた。









それは紅蓮の炎を吹く桜色の竜ではなく。








それは水であり氷の鋭さを持つ群青の閃光ではなく。








そしてそれは――――――美しい緋色を靡かせる騎士ではなく。










「シモン・・・」









力強く、偉大に立っていた、1人の男に。








先ほどのエルザ同様、その立ち位置を誰にも譲る気が無いように。








その大きな背中の後ろに立つ、3人の妖精達を守る城壁のように。







自らの生命を失ってでも、妖精達を守るように。









力強く、ただ力強く、その両腕を広げて。








強い意志と、覚悟と、思いの篭った目で、楽園の支配者を睨む
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